Mavicファミリーと共通のデザインを採用したのは飛行時間拡大のため

 安全機能や飛行支援機能も大幅に進化しており、Mavic Air 2では前方、上方、下方にビジョンセンサーを搭載。高度操縦支援システムAPAS3.0により、周囲の状況をリアルタイムにマッピングし、進行方向の障害物を自動で回避しながら飛行することが可能だ。「以前のバージョンに比べると大幅に改善され、安全性が向上し、より多様な飛行が可能」(皆川氏)だという。

前方のビジョンセンサーが障害物を検知すると、DJI Flyの画面上縁がオレンジ色になって注意を促し、さらに接近すると赤く表示して機体が自動的に停止する。

 機体重量は570gでそのサイズはMavic 2シリーズとMavic Miniの中間的な大きさ。最大飛行時間は無風状態で34分と、「DJI製コンシューマードローンの中で最大」(皆川氏)だという。スクエアなフォルムであった前作に対して、Mavic Air 2はMavic MiniやMavic 2に共通したデザインを採用。その理由として皆川氏は「ユーザーにとってドローンの飛行時間は空撮体験の中でも最も重要な要素のひとつ。初代Mavic Airのプロペラサイズ、カバーの面積、流体効率など、どの点においても改善の余地があった。これらを改善して飛行時間を向上させるためにこのデザインになった」と説明した。

 Mavic Air 2の送信機は、これまでのMavicファミリーに共通した、本体下側のグリップ部を左右に広げてその間にモバイルデバイスを挟むというスタイルを刷新し、スクエアな送信機の上部にアンテナ兼用のクランプを伸ばし、そこにモバイルデバイスを固定するデザインに変更。バッテリー駆動時間も最大240分と大幅に拡大されている。
 機体と送信機間の伝送システムには、Mavic 2と同じOcuSync2.0を採用し、最大伝送距離はMavic 2より1km長い6kmを実現。一方、送信機のモバイルデバイスで使うアプリは、Mavic Miniと同じDJI Flyを採用している。

従来のMavicシリーズに共通したデザインを刷新し、ホールド性が高くモバイルデバイスの脱着もしやすくなった送信機。

 Mavic Air 2は4月28日の発表以降に予約したユーザーに対して5月21日からデリバリーが開始されており、税込10万5600円の標準パッケージと、これにショルダーバッグ、予備バッテリー2本、予備プロペラ1セット、NDフィルターをセットにした税込13万2000円のFlyMoreコンボキットが選べる。またDJI JAPANでは、Mavic Air 2の使い方をわかりやすく解説したTips動画を、同社のYouTubeチャンネル「DJI JAPAN SUPPORT」チャンネルで順次公開していくとしている。

機体とコントローラー、バッテリー1本などがセットになった標準パッケージ(左)と、Fly Moreコンボキット(右)。

今秋、全国の “空撮したくなる場所” を紹介した「ソラタビマップ」を公開予定

 さらに製品説明の後、川中氏がDJI JAPANのマーケティング施策とキャンペーンを紹介した。川中氏によると、2019年からVlogがトレンドになってきていることから、DJI JAPANでは3月に特設サイト「今日が、物語になる。」を設け、「#DJIで#Vlogはじめました。」をキャッチフレーズに、Vlogを撮る楽しさを伝えるキャンペーンを実施。OSMOシリーズやMavic Miniを使って撮影・編集し、動画を共有するノウハウなどを特設サイト内で紹介している。また、4月20日からは、昨今の在宅時間が急増する情勢を受け、「#おうちVlog」と題したキャンペーンを実施中だ。

DJI JAPANでは今春から特設サイト「今日が、物語になる。」を設けるなど、Vlogを普及させるキャンペーンを展開してきた。

 さらに今後DJI JAPANは、“旅Vlog×空撮” により力を入れていくという。「旅Vlogとドローンによる空撮は親和性が高く、Mavic Air 2のクイックショットなどの機能を使えば、初心者でも旅から自宅に戻って振り返ったときに、旅を二度楽しめる作品を残していける」と川中氏。しかしその一方で、空撮に関わる課題として「どこで飛ばせばいいのかわからない」という点に応えていく必要があるという。
 「この課題には2つの意味があり、ひとつは航空法をはじめとした飛行ルールに関したもの、もうひとつは “空撮作品に撮るに適した場所はいったいどこなのか” ということ」だと川中氏は付け加える。特に2つ目の課題に対して、空撮に適したスポットの拡大が必要だとDJI JAPANでは考えているという。そしてその答えとしてこれまでにも同社では、2018年に「ソラタビwith MAVIC AIR」キャンペーン、2019年には長野県駒ケ根市と埼玉県長瀞町で空撮ツアーを実施してきた。

前作のMavic Airを発売した2018年には、静岡県浜松市、神奈川県葉山町の協力の下、「ソラタビ with MAVIC AIR」と題したキャンペーンを展開した。

 Mavic Air 2を発売した2020年は、全国の自治体と連携し、空撮したくなるような場所を紹介した特設Webサイト「ソラタビマップ」を展開すると川中氏は披露。このサイトではスポットの紹介や空撮スポットの特集ページ、安全飛行のガイドラインといったコンテンツを用意するとしている。「新しい生活様式、新しいあたりまえが始まる中で、空撮は新たな趣味として広がりをみせる可能性を秘めている」(川中氏)といい、新型コロナ感染症の拡大防止の動向を注視しながら、今夏から今秋をめどにキャンペーンを実施するとしている。

2020年秋ごろに「ソラタビマップ」と題して、全国各地の空撮スポットを紹介したWebサイトが用意される予定だ。