飛行するドローンだけでなく水上ドローンも活用し、様々なインフラの点検業務を担うジャパン・インフラ・ウェイマーク(JIW)。NTT西日本グループである同社にとって、いわばお膝元での開催とあって、ジャパン・ドローン関西のなかで最大規模のブースを出展した。
Skydioシリーズによる橋梁点検の進化
飛行するドローンの展示では同社がメインで運用する「Skydio 2+」「Skydio X10」を展示した。JIWではSkydio 2+を橋梁や水管橋の点検に活用している。ブースに展示されたパネルでは「1巡目点検で作成された点検調書と比較して、前回点検同様の画像の取得可能」と性能の高さをアピール。日本各地で行った橋梁点検実績も紹介し、近畿地方では2024年3月時点で236件(全体の実績の約26%)を実施している。「Skydio 2+はAI画像認識によって自機の位置を正確に把握することで安定した飛行ができます。小型なのでかなり狭い場所にも入っていけますし、様々な場所の点検に向いています」と自身も点検業務に従事する担当者は使い勝手の良さを説明してくれた。
2024年秋から日本市場にも投入が開始されたSkydio X10はSkydio 2+よりもサイズが大型化。狭小部への進入は難しくなったが、カメラの画質が向上したため遠くからでも鮮明な画像の撮影ができるようになった。「Skydio X10を使用した業務も何件か行いましたが、3Dの画像が必要になった際に、遠距離から撮影した画像を解析して3Dに起こしても、なんの問題もありませんでした。現在は基本的にはSkydio 2+を使用していますが、現場に応じてSkydio X10も使っています」(担当者)。各機体の長所を活かして、正確な点検や必要なデータの取得ができるのであれば頼もしい。
水上ドローンで「洗掘」からヒビ割れまで対応
JIWが開発する水上ドローンも3機種が展示された。橋脚は川の水流によって徐々に削られていく。この「洗掘」がどの程度進行しているかを把握するために使用するのが、青いボディの「ソナー搭載式ボート型ドローン」だ。ソナーで取得したデータから横断図や等深線図を作り視覚化することで、橋脚の削れ具合や破損具合を把握する。従来、潜水士が行っていた業務を代替するために活用されている。
黄色の「カメラ搭載式ボート型ドローン」は水路や溝橋(ボックスカルバート)など、水深が浅かったり、狭かったり、あるいは水中に障害物があるような場所の点検に利用する。機体の前部にソニー製の光学カメラを搭載し、機体の上側および両側を撮影してヒビ割れや水漏れといった損傷の有無を確認する。従来は人が胴長をはいて赴いていたような場所の点検に使用されている。
いずれの機体も水に接する底面ではなく、機体天面にプロペラを4個設置しているのが特徴。これによりドローンのように水平移動や旋回を可能とし、水面で全方向に移動できるようになっている。最大伝送距離は環境により異なるが300mとなっており、アクセスしづらい場所の点検にも有効に活用できるだろう。
担当者によれば2023年における水上ドローンでの点検の実績は30件程度あり、年々増加しているという。機体を間近で確認するとボディの塗装がところどころ剥がれており、しっかり使い込まれていることを感じさせた。潜水士など点検に従事する人材は減りつつあり、機械化は急務。今後も水上ドローンの活躍の場は広がっていきそうだ。
デジタル点検野帳アプリ「Waymark Note」の活用法
このほか、橋梁点検用に開発されたデジタル点検野帳アプリ「Waymark Note」も紹介された。タブレット上で事前に登録したワードを選択し点検結果を記録できる。撮影した写真は自動で番号順にリネームされ整理もしやすい仕組みになっている。
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