ArduPilot Developer Conference(アルジュパイロット開発者会議)2020が、3月27日〜29日の3日間に渡り、Zoomを使ったオンライン形式で開催された。当日は、ArduPilot開発を牽引する総勢70名が、オーストラリア、日本、アメリカ、イギリスなど世界各国から集結。直近1年間の開発成果を発表し、ArduPilotの最新情報を共有したうえで、2020年の開発ロードマップを話し合った。
本稿では、ArduPilot Developer Conference 2020(以下、本コンファレンス)の開催概要と、日本在住のArduPilotコア開発者であるランディ・マッケィ氏に独自取材した「2020年の最新トレンド4つ」についてレポートする。
ArduPilot Developer Conference 2020とは
ArduPilot(アルジュパイロット)はオープンソースのドローンのソフトウェアで、回転翼機のほかVTOL、飛行機、ローバー(UGV)、水中ドローン、ボート、潜水艦などにも対応している。
ArduPilot開発者コミュニティでは、技術的な議論や相談が、日常的にオンライン上でグローバルに展開されているが、本コンファレンスはそのアニュアルイベント。毎年3月にオーストラリアの首都キャンベラで、リアルに開催されており、コア開発者達にとってハイライト的な位置付けだ。
ArduPilotコミュニティサイトのブログによると、今年は、旅行者にも人気が高いホテルクラジョンをメイン会場として、ホテル徒歩数分にある湖ではArduPilotボートのテスト航行も計画。しかし諸般の事情により、本コンファレンスはオンライン開催へと切り替えて開催された。(ちなみに2021年は、3月上旬に同会場にてリアル開催の予定とのこと。)
今年のラインナップは次の通り。時差を考慮し、3月26日22時(GTM)より始まり、5セッション(各1時間)行い、5時間のインターバルを置いて2セッション、10時間のインターバル後にまた5セッション、といったリズムで進行した。そして、最後の1時間で、2020年のロードマップを話し合った。
非GPS環境下での飛行、衝突回避、セールボートやヘリコプターなどの多様な形状における最新アップデート、空中でのトラブル時に役立つオートローテーションや、10cmほどの小型マルチコプターArduBeeのお披露目など、見どころは目白押し。日本でも、ArduPilot開発者たちがZoomでコンファレンスを視聴し、Facebookコミュニティでも活発にコメントし合う姿が見られ、その盛り上がりは印象的だった。
本コンファレンスがオンライン開催されたメリットについて、日本在住のコア開発者であるランディ・マッケィ氏は、「これまでは移動コストのため参加できなかった開発者が、世界中から一同に会することができた」「録画もしやすかった」ことを挙げた。(本コンファレンスの映像は、こちらから閲覧可能だ。)一方で、デメリットとしては、「リアルなら、同時に複数の会話や意見交換が生まれるが、オンラインでは会話が1つに収束してしまう」と指摘した。