「操縦技量をどのように維持するか」は、ドローンに関わる人々にとって大きな課題だ。ドローンスクールに通っているうちは練習機に触れられるが、実技講習が終われば機体を持たない限り操縦する機会は、まずない。機体を所有したとしても、住んでいる場所によっては気軽に外で飛ばすことができず、練習場まで足を運ばざるを得ない人も多いだろう。
DRONE STAR TRAININGの特徴と実践的な性能
そんな技量維持に関する課題を解決するために登場したのが、ORSOが開発した操縦練習用のミニドローン「DRONE STAR TRAINING」だ。見た目はインターネット通販で購入できるような、プロペラガードが取り付けられた手のひらサイズのクアッドコプター。しかし、性能は高く、機体の水平方向の位置安定に使用するビジョンセンサーを搭載し、オン・オフの切り替えにも対応。オンにすれば国家資格の二等実地試験、オフにすれば一等実地試験と同様の条件で機体を飛行させられるのだ。またカメラも搭載しているので、目視外飛行の練習もできるのが嬉しいポイント。
ORSOの出展ブースには操縦体験ブースが開設されており、多くの来場者がDRONE STAR TRAININGの操縦を楽しんでいた。一等無人航空機操縦士の資格を所持する記者も実際に操縦を試した。まずはビジョンセンサーをオンにした状態で飛行開始。離陸するやいなや、機体がやや流される挙動があった。ビジョンセンサーがあるとはいえ、流される挙動を打ち消すための「当て舵」を入れながら飛行させなければならない。もっとも、屋外で飛行させる場合は風の影響を受けることが考えられるので、より実践的な訓練ができているとも考えられる。
プロポの高精度設計で本格的な操縦体験
DRONE STAR TRAININGのプロポのスティックは、動きを入力しても機体の動作に反映されない、いわゆる「遊び」を少なくしていることも大きな特徴だ。インターネット通販で購入できるトイドローンのプロポのスティックは、遊びが大きくしてあるので、機体を動かすために大きくスティックを操作する必要がある。だが、「この操作で慣れてしまうと、通常のドローンを操縦する際もスティックの動きが大きくなってしまい、適切な飛行ができなくなります。そこで、DRONE STAR TRAININGでは遊びを少なくし、少しスティックを入れただけでも、入れた分だけ動くというように解像度の高いスティックにしています」と担当者は説明してくれた。
トレーニングマットで国家資格試験対策も万全
かなり実践的な練習ができ、技量維持に十分使用可能という印象を得たDRONE STAR TRAINING。2024年6月に初お披露目されてから、すでに10社以上が導入しており、ドローンスクールのサブ的な教材や、企業の操縦者の技量維持に使用されている。またトレーニングマットもいよいよ発売された。マットの大きさは3.2×1.6m。この中に、DRONE STAR TRAININGと練習機として使用されるドローンの縮尺に合わせて約3分の1サイズとなった国家資格の実技試験コースがプリントされている。このマットの上でDRONE STAR TRAININGを使用して練習を繰り返せば、国家資格の実技試験対策は万全になるだろう。