バッテリー交換式か、充電式か
今回のイベントでは、企業3社が口を揃えて、「各ポートによって、得意不得意は異なる。用途に合わせて選んでほしい」と話していたことが最も印象的だった。
例えば、「Atlas Nest」は、バッテリー交換式のドローンポートだ。内部には、「Atlas Nest」の対応機種「Atlas Pro」専用のバッテリーを4本格納。1フライト終えてバッテリー残量が設定値を下回っている場合は、自動でバッテリー交換できるので、続けてすぐに飛び立つことができる。一方、「Skydio Dock」と「DroneNest」は、自動充電機能を備えているが、バッテリー交換機能は有していない。
WINGGATEの扇氏は、「バッテリー1本で、飛行時間は20~30分、充電には1時間を要する。1本目のバッテリーで機体が飛んで、フル充電を使い切り帰ってきて、2本目も20~30分飛行。3本目、4本目と飛んで帰ってくる頃には、1本目がフル充電されている。このため、シームレスにミッションを続けることができ、稼働検証はこれからだが、理論的には24時間の連続運用も可能だ。ただし、バッテリーを4本用意しなければならないので、ミッションに応じたチョイスが必要なのではと思っている」と説明した。
ちなみに、「Atlas Nest」に対応したドローン「Atlas Pro」はプロペラが3枚で、バッテリーの消費エネルギーが少ない分、長時間飛行できるという。また、機体の特長について扇氏は、「折り畳んで運べて、慣れれば30秒でセットできる。離陸前に、GPSの取得、通信の確立、システムの準備といったイニシャライズ化で1分。現場に着いて1分半で離陸可能だ」と話した。
機体は自由に選べるのか
ドローンポートによって、使用する機体は決まっているのか、それとも自由に選んだ機体を運用できるのかという点も、参加者の大きな関心事の1つだったようだ。
「DroneNest」は、機体に応じたカスタマイズを得意とする製品だ。ドローンポートのハードウェアは中国製、遠隔操作用のアプリケーションはアメリカ製で、DJI製品のフライトアプリはもちろん、ArduPilotやPX4といったオープンソースにも対応しており、国産ドローンの遠隔操作アプリとシステム連携してポートを使用することもできる。当日のデモでは、DJI製のMavic 2 Proを使用。バッテリー部分から電極を取り出し、この電極が充電ポート側の電極と接触することによって充電できる仕様になっていた。今後はMavic3シリーズにも対応する予定だという。
ドローンポートのハードウェアと、セットで稼働しているのが通信塔だ。内部にはドローンに対応したプロポとAndroidベースのマイクロコンピューターが格納されており、このマイコン経由でインターネットに接続する。クラウド経由でデータ通信を行い、パソコンでGoogle Chromeベースのアプリケーションを開いて遠隔操作する。また、通信塔にはポート周辺を監視するための外部カメラ、風速・風向・雨量・照度を計測できる気象計も装備されており、本アプリで確認することができる。
SORABOTの奥村氏は、「我々の製品は、ドローンもプロポも電源がオフの状態で普段待機しており、システムがオンになった時点でポートが開くので、離陸までに5分程度要する。高頻度でシームレスに飛ばしたいという用途には少し不向きかもしれないので、用途に応じてポートごとの特性を確認いただければと思う。すでに1年半ほど屋外に設置して必要に応じてシステムを起動して使用してきたが、雨晒しでも製品が壊れずに動いているという実績がある」と話した。価格も700万円~と、最もお手頃な印象を受けた。