ドローンは、人の目で安全な飛行を確保する目視内飛行を中心に、点検や測量、農業といった限られたエリアで実運用が進んでいる。そして、2023年以降には無人運用によるドローン物流の実装が予定されており、期待が高まっている。ドローンは小型無人航空機と呼ばれ、その名の通り“無人”で運用することによって最大限の効率化を図ることができる。それはドローン物流だけでなく、限られたエリアの活用でも同様だ。

 太陽光発電所のメンテナンス事業を行うafterFITは、現場の人を必要とせずに遠隔からドローンを無人運用するソーラーパネル点検/監視用ソリューションを提供しており、今回、北関東の太陽光発電所で実施されたデモ飛行を視察した。

プロの点検事業者に聞く、ドローンの太陽光パネル点検のメリット

 ソーラーパネルの点検手法は、目視によるパネル破損の有無のほか、場合によっては通電状況を確認するため、点検事業者が現地に赴いて点検を実施してきた。そのため、敷地の広い発電所は作業時間やコストの負担が大きく、持ち主や点検事業者の課題となっている。

 太陽光パネル点検をドローンに置き換える点検事業者は年々増加傾向にある。その理由にはプラントやインフラ構造物などの点検に比べ、飛行方法が比較的容易であり、所有者の敷地内なので法規制の面でも点検を実施しやすいことがあげられる。また、近年は赤外線カメラの精度向上が大きく貢献し、ソーラーパネル点検にドローンが有効であることが認知されてきたという。

 ドローンを使えばソーラーパネルの表面に付着した汚れや傷が発見できるのに加え、目視では判別しにくい回路の短絡など(熱を持つためホットスポットと呼ばれる)も赤外線カメラを用いれば、的確に判別可能なデータを取得することが可能だ。一方、ドローンは上空から点検するため、目視で行っていたパネルの裏側の点検には使用できない。また、ソーラーパネル点検は年4回の目視による法定点検が義務付けられており、点検事業者が現地に赴く必要があるという。

株式会社afterFITでドローンの利活用推進に務める奥村英樹氏。DroneNestの導入のほか、社内でドローンを取り扱う人材育成などにも携わっている。

 これについて奥村氏は「目視による点検を避けることはできないが、ドローンを使うことで目視点検の頻度や点検時間を削減することができる。ドローンを簡易的な定期点検や事前点検に使用するだけでも大幅に点検効率が良くなる。また、人による点検は見落としや判断ミスが生じてしまい、点検事業者によって良し悪しの差が激しい。ドローンであれば均一な成果を得ることにつながる」とドローンの有用性について話した。続けて、点検の必要性について「ソーラーパネルの所有者は投資や自社の消費電力にあてるといった目的がほとんどで、故障によるロスがあると意味をなさなくなってしまう。点検頻度が少ない場合や故障を発見できない事業者に点検を任せている場合、全体の3分の1が発電していないといったケースもある。そういったロスを無くすためにもドローンによる簡易点検を定期的に取り入れると未然に防ぐことができる」という。