2025年3月25日、インプレスは、国内ドローンビジネス市場の動向に関する調査結果を発表した。この調査結果をまとめた新産業調査レポート『ドローンビジネス調査報告書2025』を、2025年3月28日に発売する。

 2024年度の日本国内におけるドローンビジネスの市場規模は、4,371億円と推測され、2023年度の3,854億円から517億円増加している(前年度比13.4%増)。同市場は、2025年度は4,987億円に拡大する見込み。また、2024~2030年度の年間平均成長率は15.2%で推移し、2030年度には1兆195億円に達するとインプレス総合研究所は予測している。

2017〜2030年度の日本国内ドローンビジネス市場規模の予測グラフ
日本国内のドローンビジネス市場規模の予測

 ドローンビジネスの市場は、機体、サービス、周辺サービスの3つで構成されている。

 2024年度に市場規模が最も大きかったのはサービス市場で、2,295億円(前年度比13.3%増)となっている。機体市場が1,134億円(前年度比7.9%増)、周辺サービス市場が942億円(前年度比21.0%増)と続く。各市場ともに今後も拡大が見込まれており、2030年度には、サービス市場が5,288億円(2024~2030年度の年間平均成長率14.9%)と最も成長し、機体市場が2,746億円(同平均成長率15.9%)、周辺サービス市場が2,161億円(同平均成長率14.8%)に達する見込み。

機体市場

 機体市場では、引き続き国内および海外メーカーが点検や測量、農業、物流などの産業分野に利用可能な機体を提供している。2024年に、20~30kg程度の重量物の運搬に特化したドローンの有力な機体が発売されたことで、運搬分野でドローンの利用がさらに広がっている。運搬用のドローンは、土木・建築現場の資機材や農産物、農業資材のように、人が運ぶには重たいものを運べるため、従来の建設機械や農業機械のように、現場における生産性向上の手段としてドローンの利用が広がることが予想されている。

 屋内の狭所空間で点検に活用できるドローンを開発し、ハードやサービスを提供する事業者が増えてきている。ドローンが “狭い空間” の点検に使えるという認識が広まってきていることから、屋内狭所空間点検用ドローンの普及が見込まれる。

 また、2024年は、新たに4機種が第二種型式認証を受け、第一種型式認証は1機種、第二種型式認証は5機種となった。レベル4飛行に欠かせない第一種型式認証に加えて、技能証明と組み合わせることで許可・承認を省略できる第二種型式認証のドローンは今後も増加が予想されている。

サービス市場

 サービス市場では、特に点検、土木・建築、農業の分野で、ドローンの社会実装が着実に進んでいる。

2017~2030年度のサービス市場の分野別規模予測グラフ
国内ドローン市場規模におけるサービス市場の分野別市場規模の予測

 2024年度の点検分野では、特に送電網・鉄塔や基地局鉄塔の分野で、ドローン点検の商用化・実用化が進んでいる。自社保有の設備を自らドローンで点検していたユーザー企業が、そのノウハウを活用したサービスを外販する動きも見られる。

 また、大規模建造物の天井裏や下水道の管渠(かんきょ)、ボイラーやダクトの内部など、狭小空間におけるドローン活用が普及し始めている。さらには、大規模な災害や社会的影響の大きい事故などをきっかけに、ドローンの新たな活用方法について認知が広まりつつあり、より多様な場面でドローンが活用されることが見込まれている。

 農業分野では、ドローンによる農薬散布が定着しつつある。政府のさまざまな補助金・支援策の後押しも加わり、今後もさらなる普及が見込まれる。林業分野では運搬用ドローンの新機種によってさらに資材や苗木の運搬の活用が広がるとともに、病害虫の調査等でも活用が広がっている。

 数百から数千のドローンを群制御して、機体のライトで夜空に文字や図形、アニメーションを描くドローンショーは、市場規模が前年比で約2倍と急速に拡大した。花火大会やスポーツの興行のイベントなどと併せて全国各地で行われており、その開催数は増加傾向にある。また、同市場への新規参入者も増えている。今後、エンターテインメントまたは広告媒体の1つとして注目を集めていくとみられる。

周辺サービス市場

 周辺サービス市場は、ドローンの産業利用が進むにつれて、バッテリー等の消耗品や定期的なメンテナンス、業務環境に即した保険のバリエーションが増加するなどにより、機体市場の拡大に合わせて引き続き成長していくと見込まれている。

 大手メーカーが、自社の最新機体に対応するドローンポートを発売している。ドローンポートは、ドローンを充電したり、取得したデータをクラウド等にアップロードしたりするなどの機能を搭載しており、ドローンを使用した自動化ソリューションに欠かせない存在になると見込まれる。

 また有人地帯(第三者上空)での目視外飛行(レベル4飛行)の解禁は、ドローンの機体やソリューションだけでなく、周辺ビジネスの拡大にも波及することが予測される。レベル4飛行を安全に実行するための気象情報サービスや運航管理システムなどの拡大も予想されている。

構成・各章の概要

 この調査報告書は、ドローン関連ビジネスを展開する企業や有識者、省庁などへの取材と、ドローン専門メディアであるドローンジャーナルの知見をもとに、市場動向、ビジネス動向、行政、法律や規制、課題、展望などドローン市場を多角的に分析している。

  • 第1章:ドローンビジネス市場分析
     ドローンビジネスの市場規模やロードマップと今後の展望、産業構造やプレイヤー整理、事業レイヤーごとの動向と分析、市場全体の最新動向、法律や規制など、ドローン市場を知るうえで必要な情報を網羅的にまとめている。
  • 第2章:産業分野別のドローンビジネスの現状と課題
     農業、土木・建築、点検、搬送・物流、公共など14分野合計38の産業・業務用途ごとにドローンを活用したビジネスの現状とロードマップ、課題(分野特有の課題、技術課題、社会的課題など)、今後の可能性などを分析。
  • 第3章:各省庁の動向
     今後のドローンビジネス市場を展望するうえで重要な、内閣官房・内閣府、国土交通省、農林水産省、経済産業省、総務省の動向をまとめている。
  • 第4章:企業動向
     今後のドローンビジネス市場のカギを握る企業を「ハードウエアメーカー」「サービス・ソリューション提供」「業界団体」に分類し、48の企業・団体の動向をまとめている。

ドローンビジネス調査報告書2025

書名ドローンビジネス調査報告書2025
著者春原久徳、青山祐介、インプレス総合研究所
監修ドローンジャーナル編集部
発行所株式会社インプレス
発売日2025年3月28日(金)
価格CD(PDF)版、ダウンロード版 14万3,000円(本体 13万円+税10%)
CD(PDF)+冊子版 15万4,000円(本体 14万円+税10%)
判型A4判 モノクロ
ページ数562ページ
ISBNCD(PDF)+冊子版 978-4-295-02151-3
「ドローンビジネス調査報告書2025」書影

▼ドローンビジネス調査報告書2025
https://research.impress.co.jp/drone2025