ソニーグループとソニーマーケティングは先ごろ販売を開始したプロフェッショナル向けドローン「Airpeak S1」の報道関係者向け飛行デモンストレーションを11月25日に実施した。Airpeak S1はソニーが初めて手がけるマルチコプターで、ソニーのミラーレスカメラ「α」シリーズを搭載できる、世界最小クラスのドローンとなっている。この日はα7SⅢとFE 24mm F1.4 GMレンズを搭載し、高機動飛行や障害物検知機能、ミッション飛行といったデモンストレーションを行った。

ソニーの「Airpeak S1」。“ミラーレスカメラ「α」シリーズを搭載できる世界最小クラスのドローン”(説明員)とされる。

高い運動性能、センサーによる安全性、撮影を効率化するミッション飛行機能

 同社は2020年秋にドローンプロジェクトを手がけることを発表し、2021年初めのCES 2021で「Airpeak」としてその姿をアンベール。そして6月にほぼそのままの姿で正式にリリースを発表したのが「Airpeak S1」だ。

 本機は対角寸法644mmのクワッドコプターで、機体下部にGremsy社製の専用ジンバルを介してソニーのミラーレスカメラ「α1」「α7」や、シネマカメラ「FX3」を搭載し、高品質な映像を撮影することができる、ハイエンド空撮用ドローンとなっている。とりわけプロフェッショナル向け空撮用ドローンとして運動性能を追求したものとなっており、最高速度は90km/h(25m/s)、最大角速度180°/s、最大傾斜角55°と、ミラーレスカメラを搭載できるドローンとしては、非常に高い運動性能を誇る。

 また、ソニーはカメラなどの完成品だけでなく、さまざまな半導体などのデバイスメーカーでもあり、カメラ用撮像素子ではソニー以外の多くのカメラメーカーに供給していることでも知られる。Airpeak S1はこうしたデバイスメーカーとしての技術を生かし、高性能なセンサーによる高い精度の機体姿勢、自己位置の制御や、障害物回避機能を搭載。前後左右下の5方向にソニー製イメージセンサーを使ったステレオカメラを装備し、同社製ビジョンプロセッサと独自のアルゴリズムを駆使して、非GNSS環境下でも安定した飛行を実現している。

機体前面には障害物検知のためのステレオカメラとFPVカメラを装備。
前部のカメラ部の下面には、下向きのステレオカメラと赤外線のToFセンサーが付いている。
プロペラやモーターはソニーが独自に開発したもの。プロペラは中心部の幅が狭く強度を高めた独特な形状となっている。

 さらにAirpeak S1は自動飛行機能を使った撮影ワークフローの効率化をうたっており、一度飛行したログから飛行ルートとカメラジンバルの動きを再現する機能を搭載するほか、PC向けWebアプリ「Airpeak Base」との組み合わせで、緻密なミッションを作成することが可能となっている。このほか、Airpeak S1はハイエンド空撮用ドローンとして多彩な機能を備えており、これらについては過去の記事を参照していただきたい。

AppleのiPadに対応したモバイルアプリ「Airpeak Flight」。画面上部に機体の状態、左側に機能の状態、右側にカメラの設定状態を表示する整理されたレイアウト。左下はFPVカメラの映像、右下は地図を表示している。

▼ソニー、ミラーレスαを搭載可能なプロ向けドローン「Airpeak S1」を発売
 https://drone-journal.impress.co.jp/docs/news/1183598.html

▼価格は約110万円!ソニーが開発した「Airpeak S1」にしかない独自の強みとは
 https://drone-journal.impress.co.jp/docs/event/1183632.html