簡単にきれいな円軌道を描ける飛行制御機能を搭載

 ソニーマーケティングでは、2020年秋から「Airpeakプロフェッショナルサポーター」として、メーリングリストへの登録を開始。このメンバー向けに体験会、デモ会を実施しているが、この日は日本の報道関係者向けとして初めてのデモンストレーションとなった。デモンストレーションは神奈川県横浜市のドローン飛行場で開催。飛行は4回行われ、最初のフライトは離陸からホバリング、そして基本的な飛行が披露された。

バッテリーは機体上部のハウジング内に、後方から2個スライドする形で搭載する。
2個のバッテリーを1個ずつ差し替えることで、機体の電源を切ることなく交換ができる“ホットスワップ”に対応。

 飛行はAirpeak S1の離着陸や低空での安定性のデモンストレーションから開始。同機はジンバルの高さに対して余裕を持ったスキッド(着陸脚)を備えているが、離陸と同時にスキッドは自動的にほぼ水平まで引き上げられることで、カメラジンバルを左右にパンしてもスキッドが映り込むことがない。また、着陸時には一定の高度で自動的にスキッドが降りてくるため、スキッドを降ろし忘れることもない。

 なお、このスキッドの自動開閉はオフにすることもできるため、極低空での撮影も可能だ。また、ドローンが地面に近い極低空での飛行では、自身のローターが吹き付ける風の影響を受けて機体が不安定になる“地面効果”が発生するが、Airpeak S1はこうした地面効果が発生する高度でも安定した飛行ができるようなチューニングが施されているという。

離着陸に合わせて自動で開閉するAirpeak S1のスキッド。
Airpeak S1はミラーレスカメラを搭載できる大型のドローンに比べて比較的飛行中の音が静かなことが特長のひとつだという。

 離陸後、上昇したAirpeak S1は飛行場の上空を旋回しながら飛行を開始する。同機の特長のひとつが高い運動性能だ。デモフライトの前半では飛行場上空を縦横無尽に飛行して、その実力をアピール。特にその場で小さな円を描くように進む旋回では、一般的なドローンだとピッチ(前進)とヨー(左右回転)に加えて、ロール(左右傾斜)方向を同時に操作しないときれいな円を描くことが難しい。特にロールを適切に操作しないと、機体が遠心力で円の外側に流れてしまうが、Airpeak S1はオンコース機能を使うことで、この遠心力によって外側に流れる挙動を抑え、簡単にきれいな円を描くことができるという。「ミラーレスカメラを搭載できるドローンはどうしても大型のものとなるため、クイックな飛行が苦手。Airpeak S1はαシリーズのカメラを搭載できる世界最小クラスのドローンとして、小気味いい飛行ができる」(説明員)ことが持ち味だとしている。

高い速度を保ったまま半径数メートルといったような小回りの旋回を簡単に行うことができるなど、高い機動性を示すAirpeak S1。

 さらにAirpeak S1の高機動性の象徴ともいえるのが、90km/h(25m/s)という最高速度と加速性能だ。ドローンの最高速度はローターの推力に加えて、機体の進行方向に対する前傾角が左右するが、Airpeak S1は最大傾斜角度を55°(障害物ブレーキ機能無効時)とすることでこの速度を実現。さらに同機は最大角速度をピッチ、ヨー、ロールすべてで180°/sとすることで高い加速性能を実現。「単に最高速だけなら同じようなスペックのドローンもあるが、例えば走るクルマを追いかけながら撮影するような場合には、ドローンも加速するのに助走が必要で、この助走区間をどれだけ短くできるかが求められる性能のひとつ」(説明員)だという。

最大値に近い速度での飛行を見せるAirpeak S1。ホバリングから最高速度に達するまでの時間の短さも、撮影では威力を発揮するという。