1970年の大阪万博で描かれた未来社会が、2025年に現実のものとなろうとしている。今回の大阪・関西万博は、空飛ぶクルマやロボット、最先端のモビリティなどが実際に目の前で見られる“巨大な実証実験の場”として注目されている。
また、併催される「スマートモビリティ万博」では、水素と電気を組み合わせたハイブリット燃料の船や、自動運転や走行中給電を行うEVバスの実証実証など、最新技術を体験できる展示が目白押しだ。
空飛ぶクルマが飛ぶ!大阪・関西万博で見る未来の移動体験
実際に空飛ぶクルマが見られる!3陣営がデモフライトを実施
大阪・関西万博の目玉の一つが「空飛ぶクルマ」である。万博期間中、「未来社会ショーケース事業」の一環として3つの企業・団体がデモフライトを行う予定だ。
フライトは北西部、西ゲート側にある「フューチャーライフゾーン」の「モビリティエクスペリエンス」に設けられた「EXPO Vertiport」で実施され、メディア向けにはSkyDriveの3人乗り機「SkyDrive式SD-05型」の無人リモート飛行が披露された。
▼ドローンジャーナル-SkyDriveが空飛ぶクルマの公開フライトに成功、夏の2地点間飛行・周回飛行も視野に
https://drone-journal.impress.co.jp/docs/event/1187204.html
運航予定の空飛ぶクルマ
- ANAホールディングス株式会社(Joby Aviation Inc.)
- 株式会社Soracle(Archer Aviation Inc.)
- 丸紅株式会社(Vertical Aerospace Group Ltd.)
- 株式会社SkyDrive
一般公開のデモフライトも開催中、ただし安全性を確認中の機体も
開会式以降は、丸紅がLIFT社の一人乗り機「HEXA」による一般向けデモフライトを同じ離着陸場で公開している。
約10分間の手放し運転を含むフライトも実施され、空飛ぶクルマの飛行を一目見ようと公開日には多くの来場者が集まっていた。しかし、4月26日のデモフライト中に機体が一部損傷するアクシデントが発生。現在は安全保持と原因究明のため、当面の間公開を見合わせている。
▼丸紅-大阪・関西万博における「空飛ぶクルマ」デモフライト中の機体損傷について
https://www.marubeni.com/jp/news/2025/release/00019.html
空飛ぶクルマの飛行が見られる機会は「大阪港との2地点間飛行」
今後の予定として、SkyDriveは「大阪バーティポート」等と会場を結ぶ2地点間飛行や周回飛行を今夏に計画している。また、丸紅は「HEXA」とは異なる機体Vertical Aerospace社「VX4」によるデモを10月に予定しており、会場内外のポートをつなぐ2地点間を飛行する。いずれも国内で初の試みとして注目が集まっている。
特にSkyDriveはOsaka Metroらと協力し、市内4エリアを結ぶ空飛ぶクルマの「大阪ダイヤモンドルート構想」を発表している。森之宮エリアで2028年の運航開始を目指している。
そのような計画が進む中、大阪・関西万博ではいち早く空飛ぶクルマを体験することができる。アメリカパビリオンに近い、フィリピンパビリオンの並びに設けられたミニパビリオン「空飛ぶクルマ ステーション」では、デモ予定の「VX4」の模型やフルスケールの「SkyDrive式SD-05型」モックアップも展示。見学は自由で、予約すれば搭乗して記念撮影もできる。
さらに、JALによるイマーシブシアター「SoraCruise(そらクルーズ)」では、リアルな映像や立体音響、振動によって、まるで空飛ぶクルマに搭乗しているような体験ができる(要予約)。同様の体験はVRでも提供されているが、VRが苦手な人や小さな子供も一緒に楽しめるのがポイントだ。
大阪・関西万博は、空飛ぶクルマをはじめとする次世代モビリティの実証と社会実装に向けた重要な一歩である。実際のフライトを目にするチャンスはまだ残されており、今後の運航予定や展示からも目が離せない。未来の移動体験を“今”体感できるこの機会を逃さず、会場で空飛ぶクルマの最前線に触れてほしい。