ドローン物流のエコシステム構築に向けた今後の展望

 このような中、エアロネクストの田路氏は、「2020年度中にドローン配送サービス事業を立ち上げる」と宣言。早くて10月中に、詳細を発表するというから楽しみだ。中国深センにも現地法人を構える同社は、中国のさまざまな業種・業態のドローン物流参画企業を入念に研究して、日本独自のビジネスモデル構築を模索しているとみられる。

 ACSLがこの構想に関与するかどうかは現段階では不明だが、両社で共同開発する機体へのニーズは明確だ。「現在我々が運んでいる荷物の重量は約3kg。これより重量が大きいものでなければ意味がない。ペイロード5~7kgは目指したい。飛距離は、現状と同等の12~15kmを念頭に置いている」(鷲谷氏)という。

 直近では2020年10月6日、ACSLはエアーズおよび日本UAV利用推進協議会(以下、JUAVAC)とともに、物資輸送におけるドローンの安全性と運用者の安全運航に関する専門カリキュラムの提供と講習を開始すると発表。同年11月より、JUAVACドローンエキスパートアカデミーでカリキュラムの提供を開始し、機体は日本郵便やANAの実証実験でも用いられた「ACSL-PF2」を使用するという。

 ACSLとエアロネクストの4D GRAVITYライセンス契約によって、ドローン物流専用機の製品化と量産化が一気に現実味を帯びたことで、ドローン配送サービス領域、人材育成領域においても、2022年度レベル4に向けた動きが加速しそうだ。しかし、4D GRAVITY搭載の有用性は、まだ具体的な数値として明示されていない。従来機との単純比較はできないまでも、本契約の成果としての基本性能向上あるいは費用対効果について、ファクトベースで証明がなされるかどうかは、ドローン配送の信頼性を向上し市場を立ち上げていくために注視されるポイントになるのではないだろうか。