HiTS Hydrogen Power Tech(HiTS)は、2025年2月19日から21日まで東京ビッグサイトで開催された「第23回 SMART ENERGY WEEK ~スマートエネルギーWEEK~(BATTERY JAPAN ~二次電池展~)」に出展し、水素燃料電池システムを搭載したドローンを展示した。ブースでは、同社の主力製品であるAtlas H100を中心に、最先端のドローン技術や水素燃料電池システムについて紹介が行われた。

HiTSとは?中国発の水素ドローン技術リーダー

写真:展示された複数の水素燃料電池
HiTSが手掛ける水素燃料電池。

 HiTSは、空冷式水素燃料電池システムの開発を手掛け、中国で初めてドローン向け空冷式燃料電池を提供した企業である。強固な研究開発基盤を持ち、数多くの特許を取得している。主力事業として、空冷式燃料電池、水素ドローン、水素の生産・貯蔵を展開している。本社は上海にあり、深圳にドローン研究開発センター、池州には燃料電池研究開発センターを設立している。さらに、池州・棗荘・張家港に製造拠点を構えるなど、幅広く展開している企業だ。

Atlas H100の実力!長時間飛行にペイロード60kgの高性能ドローン

写真:会場に展示された「Atlas H100」

 会場では、Atlas H100の実機が展示された。この機体は、飛行時間約3時間、最大離陸重量100kg、ペイロード60kgを誇る高性能なクアッドロータードローンである。担当者によると、「一般的にこの大きさのドローンでペイロードが離陸重量の50%を超えることは珍しく、本機はそれを上回る約60%を達成している。軽量化を追求した素材を採用し、安定した飛行性能を維持しながら長時間の運用が可能となっている」と語った。

写真:水素燃料タンク
搭載されている水素燃料タンク。

幅広い用途で活躍!物流・清掃・消防に対応!急成長するHiTSの戦略

 Atlas H100は、物流に加え、太陽光パネルやガラスの清掃、消防活動などの分野で実際に運用されている。HiTSのドローンにはこのほか、最大離陸重量50kgのAtlas H50、25kgのPhoenix H25、10kgのIris H10といったモデルがあり、点検などの用途には小型機が活用されている。担当者は「VTOL型の機体メーカーに対して水素パワーユニットの供給も行っており、顧客の要望に応じてリチウムバッテリー版の提供も可能」と説明した。

 HiTSのドローンは、中国国内にとどまらず、ドイツやUAE、サウジアラビアなどの中東地域でも展開されている。日本市場について担当者は「日本はドローン規制が厳しく、市場規模も小さいという課題がある。しかし、顧客の開拓と水素燃料電池システムの普及促進のために今回出展する運びとなった」と語った。

 HiTSは2023年に主力製品の販売を開始し、急速に成長を遂げた。担当者によると、「2024年の売り上げは8000万ドル(約118億円)に達し、2025年には少なくとも30%以上の成長を計画している。また、2027年までに香港またはナスダック市場での上場を目指しており、販売実績を積み重ねることで達成を確信している」と自信を見せた。

水素エネルギーの未来!水素ステーション整備がカギ

 ブースでは、空冷式水素燃料電池スタックや水素電動二輪車も展示され、HiTSの技術力をアピールした。今後、同社はエネルギーシステムの提供にも取り組む予定である。水素燃料の普及には、ガソリンスタンドに相当する水素ステーションの整備が不可欠であり、そのインフラ拡充がカギを握る。

#第23回 SMART ENERGY WEEK記事