不審者や施設の異常をAIが認識してアラームを鳴らす

 ALSOKカラーに仕立てられたSkydio J2は、離陸の指示が与えられると専用コンテナのハッチが開き、アームが伸展した後、自動で離陸。所定の高度まで上昇すると、ウェイポイントで機敏に向きを変えながら飛行する。飛行中は機体を撮影する報道カメラマンなどの人物を自動的に認識し、必要あれば回避行動をとり、さらに1階と2階の移動ではエスカレーターに沿って高度を変えながら飛ぶ。さらに、着陸時は機体下面に取り付けたバッテリーと同じサイズしかない、皿状になったランディングパッドを外すことなく着陸するなど、Skydio J2の高度な自動飛行性能を見せた。

飛行中のSkydio J2から送られてきた映像を表示する専用アプリの画面。通路に立つ人物や看板といった障害物を、赤くマーキングする形で認識していることがわかる。
今回のデモンストレーションでは、地上約350mの東京スカイツリー展望デッキ・フロア350でも自動飛行を披露した。
展望デッキのフライトでは床のガイドマーカーを頼りに、バッテリーと同じサイズのトレイに着陸。

 今回の実証実験について説明した綜合警備保障の桑原英治氏は、「ALSOKはこれまで人の力でお客様の安全を確保してきたが、人に代わってドローンが警備を行うことで省力化が図れる。今回飛行させたのは1機だけだが、将来的には複数機を同時に飛行させて、機体のカメラが撮影した映像を警備員が常駐するガードセンターのモニターで監視するようにしたい。その場合、一人で複数のモニターをくまなく見ることはできないので、AIで自動的に不審者や火災を検知したり、本来そこにあるべきものがないとか、逆に、そこにないはずのものがあるといった事象に対して、モニターなどにアラートを発するといった形にして、少ない人員で効率よく監視し、警備品質を高めるようにしていきたい」と語った。

実証実験の概要について説明する、綜合警備保障 開発企画部 新規事業担当の桑原英治氏。

 桑原氏によると今回の実証実験により、屋内のドローン警備について「本格的にできそうだと自信がついた」という。また、今回使用しているSkydio J2はVisual SLAMによって非GNSS環境下での飛行を実現しているが、夜間の警備では暗い場所も多く、そうした真っ暗な場所ではVisual SLAMによる飛行はできない。そのため、「今後はサーマルカメラを使って飛べるようにするほか、可視光カメラで人を見つけるために照明を当てるといったことも検討中」だといい、今年度中にさらなる実験・開発を進め、2021年度からサービスとして社会実装を目指すとしている。