2020年7月15日、ALSOKと東武タワースカイツリーおよび東武タウンソラマチは、東京スカイツリータウン内にて、GPSを使用することが困難な屋内での運用を可能にしたAI搭載の完全自律飛行ドローンを活用した警備システムの実証実験を実施したことを発表した。ALSOKは今後、全国各地の施設等において実証を進め、本ドローンを活用した警備の省人化・効率化を目指していく、としている。
実証概要
ALSOKは、2020年7月14日(火)に、同社が施設警備業務(常駐)を担当する東京スカイツリータウン内にある「東京スカイツリー」の展望台および大型商業施設「東京ソラマチ」において、完全自律飛行ドローンによる巡回警備を行った。
本実証では、天望デッキおよびソラマチ商店街に設置したドローンポートから本ドローンを完全自律飛行させ、以下の項目を検証し、その有用性を確認した。
1. スムーズなフロア間移動
2. 巡回ルート上のチェックポイント通過
3. 飛行中のリアルタイム映像配信
4. 飛行中のAIによる人物検知
今後は、引き続き実証を重ねて課題の洗い出しを行うとともに、本ドローンの商用化に向けた操作性等の向上を図ることで、警備業界が抱える人手不足解消や、さらなる警備品質向上による施設の安全確保を目指していく、としている。
巡回ドローンについて
ALSOKは、画像巡回を可能にするドローンを開発した。本ドローンには以下の特徴があり、屋外およびGPSによる飛行が困難な屋内において、人の手を介さない完全自律運用が可能である。
1. 搭載した4Kカメラを用いて全方向の画像処理(Visual SLAM、※1)をリアルタイムに行い、屋内での完全自律飛行が可能
2. 離隔距離 最小50cmの狭い空間での飛行が可能
3. 障害物を自動で回避可能
4. 充電ポートに自動で離発着および充電が可能
5. リアルタイムに遠隔地へカメラ映像を送信可能
6. AIエッジコンピュータを搭載し、ドローン単体で人物などの検出が可能
※1 Visual SLAM:Visual Simultaneous Localization and Mapping。画像を用いた自己位置推定と環境地図作成の同時実行。
ALSOKが目指す将来像
複数のドローンが順次自動巡回し、リアルタイム映像を警備室に送信することで、一つの施設内の広い範囲を少ない警備員で効率的に監視することが可能となる。
本ドローンは、今後法制化されるセルラードローン(※2)としての活用も見据えており、将来的にはLTE通信モジュール(※3)を搭載することで、大型商業施設の巡回や社会インフラの点検等、複数拠点の業務を一つのガードセンターで遠隔から監視および駆けつける体制の構築を目指していく。
今後、ALSOKは警備業界が抱える人手不足問題に対応するべく、本ドローンを活用した巡回業務の省人化・効率化の実現に向けて取り組んでいく、としている。
※2 携帯電話の通信ネットワークを活用するドローン。
※3 LTE通信機能を可能とする小型部品。