写真:ドローンを前にこちらを向いて座る佐々木氏
株式会社レッドクリフ 代表取締役 佐々木孔明氏

 ドローン関連企業の代表に最新の取り組みや業界に対する想い、経営の考え方などについてインタビューを行う当連載。第5回は、「売り上げは毎年、昨対比2倍以上」という急成長中のレッドクリフ代表取締役CEOの佐々木孔明氏にインタビューした。

 同社の重要戦略は「大規模イベント」と「ドローンショー」の掛け合わせだ。「ドローンショー市場というより、屋外広告市場をマーケットとして見ている」という佐々木氏に、ドローンショービジネスの最新動向や今後の展望を詳しく聞いた。

ドローンショービジネスの最新動向

──ドローンショーがかなり話題になっています。まずは最新動向を教えてください。

佐々木氏:近年、ドローンショーは多くの屋外イベントで検討されるようになり、身近なものになってきました。当社の年間案件数も毎年2倍以上のペースで増加しており、今年の開催実績は当社だけで年間100件近くになりそうです。

 夏が一番の繁忙期となり、花火大会やお祭りに合わせて、毎週3~4件を開催していました。今年の傾向を見ると、イルミネーションやクリスマス、年越しのカウントダウンといった冬のイベントでの実施も増えており、第二の繁忙期になる見通しです。

──1案件あたりどれくらいの期間をかけて実施しているのでしょうか?

佐々木氏:ドローンショー1回の実施は約15分。発注から実施まではおおよそ2か月です。飛行場所や構成を話し合い、アニメーションを制作して、シミュレーション動画で確認後、最終アニメーションでのリハーサルを行ってから、本番を迎えます。大きな案件だと、アニメーションの修正とリハーサルが繰り返されるため、半年以上かけて作り込むこともあります。ちなみに費用は、機体数×3万円~という相場感で行っています。

──ドローンショーの運営以外の事業はどのようなものがあるのでしょうか?

佐々木氏:当社は、高巨創新(ハイグレート社:High Great Innovation Technology Development Co.,Ltd)という中国のドローンショー専用の機体とソフトのメーカーの日本総代理です。海外仕様から技術基準適合証明や無線通信など日本仕様に変更する技術協力をしており、当社はその日本モデルを日本国内で独占使用・販売する権利を持っています。また、パートナー企業を構えており、連携することで専門性を活かす体制を整えています。

写真:ドローンショー用ドローン。機体下部のライトが赤く光っている
従来機体は飛行時間10分未満、1%は離陸不可という不安定さなどが課題だったが、現行機体は飛行時間20分に延伸、LED照度アップ、プロペラガード標準装備で衝突・墜落リスクを低減、欠け機体補充機能などアップデートされたという。

──新事業としてドローンショーを取り入れる企業は増えていますか?

佐々木氏:ドローンショーの事業を始めるには、初期投資や運用者の育成が必要です。そのため、2023年から準備をして様子見していた企業が参入しはじめているタイミングかなと感じています。初期投資は、おおまかに機体とソフトウェア、飛行トレーニング費用、アニメーション制作トレーニング費用など含めて2000万~3000万円になります。なお、パートナー企業では、イベントの規模によって機体が不足してしまう場合があり、当社では機体のレンタルも行っています。そのほか、アニメーション制作などのサポートも行っています。今後、全国にパートナー企業を増やしていくことが目標です。

──ドローンショーの依頼は自治体と企業、どちらが多いですか?

佐々木氏:当社の場合は、6~7割が企業の広告・プロモーション案件、3~4割が自治体の案件となっており、両者の「マッチング」が当社の強みだと思っています。例えば、「花火大会でドローンショーをやりましょう」と自治体、商工会、青年会議所などと連携できても、予算上成立しないこともあるため、当社がスポンサー企業とマッチングを行う場合もあります。

──スポンサー企業へ魅力を伝えるためには、飛行する機体数が重要になりますね。

佐々木氏:そうですね。初年度300機でやったから次は500機、1000機と、規模感は年々大きくなっています。機体数イコールLEDの数なので、機体数が増えてドットが増える分、アニメーションの解像度が上がるというメリットは大きいです。ただ当然、機体数が増えるとエリアも大きくなるので、高密度に敷き詰める、スクリーンみたいな仕様にするなどの工夫も必要になります。