NEXT DELIVERY、エアロネクスト、セイノーホールディングス(以下、セイノーHD)、北海道上士幌町は、新設されたドローン飛行レベル3.5の飛行承認を12月8日に国土交通省より受け、12月11日に同町において、日本初となるレベル3.5でのドローン配送事業を実施した。

 これまでのレベル3飛行では、鉄道や道路など人が立ち入る恐れのある場所を飛行する場合は、補助者や案内板の設置が義務付けられており、コストや手間に課題があった。

 レベル3.5飛行では、デジタル技術の活用(機上のカメラによる歩行者等の有無の確認)により、補助者や看板の配置といった立入管理措置を撤廃。無人航空機の操縦ライセンスの保有および保険への加入により、道路や鉄道等の横断を伴う飛行を容易にした。

 レベル3.5の新設については、11月17日の「規制改革推進会議」第1回スタートアップ・投資ワーキング・グループの部において、国土交通省がドローンに関する規制緩和と今後の方針の説明内で触れており、年内に実施開始予定と発表していた。

 エアロネクストとNEXT DELIVERYは、セイノーHDと共同で、ドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流SkyHubを推進しており、上士幌町を含む9自治体が社会実装フェーズに入っている。これらの自治体で、順次レベル3.5飛行を開始するとしている。

当日の様子

レベル3.5飛行の概要

 ドローン配送には物流専用ドローン「AirTruck」を使用し、運航管理(リモートパイロット)は有資格者が山梨県小菅村より遠隔で行った。国土交通省航空局も参加する中、2本の運航を実施した。

【飛行の詳細】
飛行日 :2023年12月11日
配送物 :フード(ハンバーグ弁当)、新聞
飛行高度 :20~149m
速度 :最高時速36km
運航管理 :有資格者が山梨県小菅村より遠隔で実施

運航管理システム画面と機上カメラのライブ映像。レベル3.5飛行について説明するNEXT DELIVERY取締役 運航管理責任者 青木孝人氏(上士幌町山村開発センター)
山梨県小菅村からの遠隔運航の様子と、着陸側の映像をライブ中継(上士幌町山村開発センター)

1本目:国道上を横断するフードデリバリー(集荷側の無人化)

 1本目は、シェアオフィスからハンバーグレストランまでの往路約8.5kmを約16分で飛行してハンバーグ弁当を集荷した後、同じルートを戻って配送を完了した。レストランへの着陸は、リモートパイロットが機上カメラで安全を確認したうえ、補助者なしで行った。復路では、ハンバーグ弁当2個を入れた輸送箱の積み込み作業を、あらかじめレクチャーを受けたレストランスタッフが実施した。

 ルート上での補助員や看板の配置はなく、ルート途中の国道横断時は、機上カメラから安全を確認のうえ、一時停止することなく飛行した。レベル3.5においては、適切な無人航空機操縦者技能証明の保有と第三者賠償責任保険への加入により、道路、鉄道等の移動車両上空の横断が可能となる。

ドローン配送されたハンバーグ弁当を食すシェアオフィス利用者
(Google EarthをもとにNEXT DELIVERYが作成)

2本目:補助者なしの無人新聞配送(着陸側の無人化)

 2本目はシェアオフィスから個人宅までの片道約4.9kmを約9分で飛行し、新聞を配達した後にシェアオフィスまで戻った。受け取り側の個人宅に補助員やパイロットは配置せず、機上のカメラで安全を監視することで補助者なしの無人配送を実施した。ルート上の補助員・看板の配置も行っていない。ドローンは自動で着陸し、新聞が入った箱を切り離して個人宅前に置き配した。離陸後は住民自らが箱の中身を確認した。

新聞を個人宅前に置き配し、戻っていくドローン
ドローン配送された新聞を受け取った様子(着陸側補助員なし)
(Google EarthをもとにNEXT DELIVERYが作成)