2023年3月20日、島根県雲南市とセイノーホールディングス(以下、セイノーHD)、エアロネクスト、NEXT DELIVERY、KDDIスマートドローンは、3月17日、18日にドローン配送を実施したことを発表した。

雲南市内を飛行するドローン

 この実証実験は、2022年9月に雲南市、セイノーHD、エアロネクストの3者が締結した、ドローンを含む次世代高度技術活用により地域課題の解決に貢献する新スマート物流の構築に向けた包括連携協定に基づく取り組みとなる。

 具体的には、セイノーHDとエアロネクストが開発推進している、ドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流SkyHubの社会実装の検討に向けて実施するもので、ドローン運航はNEXT DELIVERYとKDDIスマートドローンが連携して実施した。

 同実証実験は、環境優良車普及機構により、2022年度 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金交付対象事業(社会変革と物流脱炭素化を同時実現する先進技術導入促進事業)として採択されている。

(左より)波多コミュニティ協議会会長 木村守登氏、セイノーHD執行役員 河合秀治氏、雲南市長 石飛厚志氏、エアロネクスト代表取締役CEO 田路圭輔氏、KDDIスマートドローン代表取締役社長 博野雅文氏、入間コミュニティ協議会会長 松村朝人氏

 雲南市は小規模な集落が広く点在し、商店や飲食店も少なく、人口の約40%を高齢者が占めるなどの理由から、日常の買い物など生活利便性の維持が求められている。また、運送業界においては人手不足や採算性から、特に過疎地域における配送維持が課題となりつつある。そこで物流の最適化を目指し、ラストワンマイルの輸送手段にドローン配送を組み込み、地上輸送とドローン配送を連結・融合する新スマート物流システムの導入により、買い物代行や災害時支援、医薬品配送等を行う仕組みをつくり、課題の解決を目指す実証実験に民間企業と行政が協働して取り組む。

 実証では、入間地区で実施しているボランティアでの配食サービスで、社会福祉協議会への弁当の引き取り業務をドローンに置き換えることで効率化を図る実証を行った。また、はたマーケットの利用者の拡大を図る目的で、マーケットへの来訪が困難な高齢者をメインに、アプリで注文した商品をドローンでオンデマンド配送する実証を実施した。

 今回のドローン配送実証は、いずれもエアロネクストとACSLが開発した物流専用ドローン「AirTruck」を使用し、機体の制御にはKDDIスマートドローンが開発した、モバイル通信を用いて機体の遠隔制御・自律飛行を可能とするスマートドローンツールズの運航管理システムを活用した。

 3月17日の報道関係者への公開では、まず社会福祉協議会を仮設ドローンデポ(※1)として、仮設ドローンスタンド(※2)とした入間介護事務所に向けて配食サービスの弁当1食をドローン配送。片道約8kmを、約18分で飛行した。

※1 既存物流とドローン物流との接続点に設置される荷物の一時倉庫であり配送拠点。
※2 ドローン物流の起点および終点に設置される離着陸のための設備・スペース。

ドローン配送された配食サービスの弁当を受け取る介護事務所スタッフ(入間介護事務所前)

 さらに住民モニターが注文した商品を、はたマーケットから搭載し、最初の離陸地点である入間交流センターまでの片道約7.3kmをドローンにより約16分で輸送した。商品は偏ったり崩れたりすることなく届けることができた。

品物を受け取るスタッフ
注文を受けた品物を載せて離陸するドローン(はたマーケット前のグラウンド)
ドローン配送したおでんと焼鯖寿司のセット