2023年3月10日、アクシスは、過疎化が進む地方の中山間地域における物流の継続という課題にドローンとIT、配送を融合したスキームで行う実証実験に、ITと陸上配送の部分で参画すると発表した。

 同実証実験は、八頭町とシーセブンハヤブサ、鳥取銀行が推進する「八頭未来の田舎(まち)プロジェクト」が、テクノロジー×コミュニティによる地域課題解決に向けた実証実験の第2弾として、セイノーHDグループのココネット、物流特化型ドローンの社会実装に取り組むNEXT DELIVERYと共同で実施するもの。

 なお同事業は、CO2排出量の削減や過疎地域等の物流の効率化・省人化を目的として国土交通省が推進する「過疎地域等における無人航空機を活用した物流実用化事業」に採択されている。

 人口最少県の鳥取県では、過疎化と同時に小売店の閉店やスーパーの撤退などにより、買い物難民の問題が深刻化している。また、雪の多い山間部では集落の孤立も発生し、限られた手段・アクセスとなる中山間地域特有の問題が起きている。
 2022年12月にドローンの有人地帯におけるレベル4飛行が解禁され、日用品や医薬品などの物流網の維持や災害時の物資輸送などで活用が期待されているが、法的規制や積載量の制限があるドローンに限らず、日常生活を支える仕組み作りは重要な課題の1つとなっている。

 アクシスは、地域の小売店や飲食店と共に生活用品・食品・処方薬等を、同一の物流網で自社雇用の配送員が配送する地域密着型のプラットフォーム「Bird(バード)」を2021年に開始。地域の店舗を取り扱うネットモール「トリスト」、フードデリバリー「トリメシ」、処方箋薬の配送「トリメディ」という3つのサービスを1つの配送網で提供している。

 ココネットは、各地で実施されるスマート物流の実証実験を、全国規模で展開する宅配サービスのネットワークで支えている。今回の実証実験ではそのノウハウをアクシスと共有することで、地域に根差したプラットフォームであるBirdのITと配送を活かした中山間地域のスマート物流の実証実験を支援する。

実証実験について

 鳥取県南東部の中山間地域に位置する八頭町は、2005年に3町が合併し誕生。合併当時は2万人程の人口が、現在は約1.6万人(高齢化率は36%)になり人口減少に伴うさまざまな課題を抱えている。

 今回の実証実験は、中山間地域のラストワンマイルへの輸送手段に、セイノーHDとNEXT DELIVERYが推進する、陸上輸送とドローン配送を連結する新スマート物流SkyHubのシステムを導入するだけでなく、地域密着型の生活プラットフォームBirdと連携する。地元スーパーや飲食店と協力すると同時に、地域に根差した物流・デリバリー機能を活用することで、実証実験だけでは終わらない、より実現可能な物流網のスキーム化を目指す。

 当日は、①局地災害を想定した支援物資輸送、②フードデリバリーとの共同配送、③買い物代行、④道の駅との拠点間相互輸送の4つの実証実験を実施する。

 ③買い物代行では、商品を注文すると配送員が店舗で品物を受け取り、物流拠点・ドローン離陸場所である隼Lab.まで陸送する。物流・システム面全体での運用オペレーションの効果検証を行い、実装に向けた課題整理等を実施する。

実施概要

名称
「過疎地域等における無人航空機を活用した物流実用化事業」及び超地域密着型生活プラットフォーム「Bird」により配送とネット注文を担う実証実験

日程
1)リハーサル:2023年3月19日(日)
2)本番:2023年3月20日(月)※天候不順の場合は予備日に実施
3)予備日:2023年3月21日(祝・火)

時間
10:00~15:30

配送拠点
隼Lab.(鳥取県八頭郡八頭町見槻中154-2)

実験内容
①局地災害を想定した支援物資の輸送
 配送拠点より支援物資をドローンを活用して配送。

②フードデリバリーと共同配送(物流問題・混載)
 フードデリバリーサービス「トリメシ」を活用し、コミュニティ複合施設隼Lab.内のカフェサンのメニューをドローン配送。

③買い物代行(買い物難民問題)
 ネットモール「トリスト」を活用し、サンマート東郡家店の商品をBirdの配送員が受け取り配送拠点へ運び、ドローン配送。

④拠点間相互輸送(地域間交流)
 カフェサンの商材を八東運動公園前広場へドローン配送。さらに、八東運動公園前広場から隼Lab.へ商材をドローンに搭載し配送。

今後について

 八頭町は、地域のスーパー・飲食店や物流機能が連携するBirdが参画することによって、今回の取り組みが実証実験に特化した一時的な取組みではなく、より実用的で継続可能なサービスとなることを期待しているという。

 アクシスは、自治体との連携で中山間地域・過疎地域における配送サービスの継続を図ると共に、将来的には地域経済の発展や見守り機能を兼ねたサービスとなることを目指すなど、地域の交流促進・コミュニティ活性化といったラストワンマイルへの物理的な配送を越えた価値提供を進めるとしている。