2023年3月14日、電通西日本とセイノーホールディングス(以下、セイノーHD)、エアロネクスト、NEXT DELIVERY、KDDIスマートドローン、山口県長門市は、旅客列車による貨客混載輸送とドローン配送を組み合わせたリレー配送の実証実験を実施したことを発表した。

 実証実験は、NEXT DELIVERYとKDDIスマートドローンが連携し、セイノーHDとエアロネクストが開発推進する、ドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流SkyHubの社会実装の検討に向けて実施したものとなる。

 なお、この実証実験は、電通西日本がプライムとなり、環境普及機構より、2022年度 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金交付対象事業(社会変革と物流脱炭素化を同時実現する先進技術導入促進事業)として採択されている。

貨客混載で運ばれきた商品をドローンに積み替える様子(長門湯本駅前)
ドローンスタンドに着陸するドローン(俵山地区)
ドローン配送された商品の受け渡し(俵山地区)

 長門市は、農林水産業、観光産業を基幹産業として発展してきたが、高度経済成長期に産業や人口が都市圏へ集積されるようになると、若者の流出による人口減少に歯止めがかからず、1990年の国勢調査人口4万7656人だったのが、2015年には3万5439人と約25%減少している。
 今後、少子高齢化が進行していく見通しの中、高齢者の住み良いまちを構築するためには、日常の買い物など生活利便性の維持が求められる。一方、運送業界においては、人手不足や採算性から特に過疎地域における配送維持が課題となりつつある。

 そこで物流の最適化を目指し、ラストワンマイルの輸送手段にドローン配送を組み込み、地上輸送とドローン配送を連結、融合する新スマート物流システムの導入により、買い物代行や災害時支援、医薬品配送等を行う仕組みをつくり、課題の解決を目指す実証実験に、民間企業と行政が協働して取り組む。

 実証実験では、物流事業者などの事業環境が大きく変わる中で、物を運ぶだけでなく、買い物難民の解消や公共交通の維持など地域課題解決を図ることができるよう、物流網の再構築を目指す。

 今回は「貨客混載」をテーマとして、仙崎駅から長門湯本駅まではJR仙崎線・美祢線を利用し、長門湯本駅前から俵山温泉まではドローンを利用して配送を行った。ドローン配送にはエアロネクストとACSLが共同開発した物流専用ドローン「AirTruck」を使用。機体の制御には、KDDIスマートドローンが開発した、モバイル通信を用いて機体の遠隔制御・自律飛行を可能とするスマートドローンツールズの運航管理システムを活用した。

 3月13日の報道関係者への公開では、長門湯本駅前から俵山温泉までの片道約10kmをドローンで配送。約20分で飛行し、俵山温泉のゲストハウスのオーナーに生鮮食料品(鮮魚)を届けた。

今回ドローン配送した鮮魚(イカ、メジナ、メバル)
実証実験に使用した物流専用ドローン「AirTruck」