2024年4月10日~12日、初開催となる「Offshore & Port Tech 2024 in Sea Japan」が東京ビッグサイトで開催される。30周年を迎える国内最大の海事展「Sea Japan」との併催で、現在は来場事前登録を受付中だ。主催は、日本国内で年間約20本の多様な産業の展示会を手がけるインフォーマ マーケッツジャパン。
実は、これに先がけて2023年11月29日、東京夢の島マリーナにおいて、初開催記念プレイベント[検査・点検・調査]Ocean Demonstrationが開催された。企画協力は、一般社団法人日本水中ドローン協会。
本イベントは、「Offshore & Port Tech 2024 in Sea Japan」に出展する企業が参加し、水中ドローンや水上ドローンが一堂に介したデモンストレーションイベントだ。当日は、最初に各社のプレゼンテーション、次に東京都内の海中で機器を実際に動かして、来場者はその様子を見ながらさまざま質問できるという、東京都内では珍しい盛りだくさんの内容だった。
本稿では、[検査・点検・調査]Ocean Demonstrationに参加した7社1団体のプレ&デモの概要を紹介する。気になる製品がある方は、ぜひOffshore & Port Tech 2024に足を運んではいかがだろうか。
エバーブルーテクノロジーズ「高機動型水上ドローン AST-181」
エバーブルーテクノロジーズは、もともと帆船型水上ドローンの開発を手がけている。帆船型は、風力を動力源とするエコなモビリティで、持続可能な社会の実現に向けて注目されている。同社は、この帆船型水上ドローンの自動操船技術や遠隔操船システムを横展開して、陸上では除雪ドローンの開発・製品化も手がけている。
今回出展したのは、電動タイプの高機動型水上ドローン「AST-181」だ。自動航行、遠隔操船も可能で、最高速度は15km/h。雨天や波高1m以上の悪条件下でも運用できるという。用途は、港湾施設など水辺の建造物の点検や、水難救助や警備監視、水上レジャーでの要救助者への急行と幅広く、突起物がない安全設計、障害物検知機能や、電波が途絶してノーコントロール状態になると出発地に帰還する機能なども魅力だ。
【Offshore & Port Tech 2024出展情報】
・ 小間番号:1D-18
・ 出展社プレゼンテーションあり:4月12日(金)14:30~15:00【C会場】
・ 詳細情報:https://www.informa-japan.com/sj/complist/detail.php?exid=S24198451
FINDi/NJS共同出展「FINDi FF2」
FINDi(ファインドアイ)は、親会社であるNJSとの共同発表で、国産の産業用小型水中ドローン「FF2」を紹介した。同社では、実際の業務で感じられた必要性にもとづき、機器の開発を進めてきたという。
例えば、ペイロードエリアが機体の下方面(腹部)にあると、計測機器の装備に手間がかかるため、上方面にもペイロードエリアを設ける、操縦用のカメラを2系統装備してコントローラーで切り替えられるようにするなど。機体のサイズにおいても、インフラ設備によくあるマンホールなどが概ね600mmであることを鑑み、「性能を落とさず幅は狭く」と設計にこだわったという。
インフラ設備点検では、「暗い」「狭い」「濁りなどで見えない」などの運用上の困難がある。そこで同社は、水中での操縦を練習できるシミュレーターも開発。水に流される、着底すると巻き上げが起こる、ケーブルが水中構造物に絡みつくといった実地に近い環境を作り、かつマルチビームソナーを見ながらの操縦訓練もできる。まだ開発中とのことだったが、実際に水中ドローンを活用する現場にデビューする前に、ひとりでも練習を積み重ねることができるツールということで、正式リリースが待たれる。
【Offshore & Port Tech 2024出展情報】
・ 小間番号:1C-22
・ 出展社プレゼンテーションあり:4月11日(木)14:30~15:00【C会場】
・ 詳細情報:https://www.informa-japan.com/sj/complist/detail.php?exid=B23144665
ジュンテクノサービス「水中ドローン FIFISH E-GO」
ジュンテクノサービスは、最新機種の水中ドローン「FIFISH E-GO(ファイフィッシュイーゴー)を紹介した。同社は、水中ドローンや空中ドローンのドローンスクール、水中ドローンの販売も行っている。ユニークなのは、中国QYSEA社の水中ドローンの日本国内での修理センターを唯一行っているところ。日本全国どこで購入しても、修理依頼は同社に来るということで、機器修理に関する情報がどんどん蓄積されているという。
さらに、水中ドローンを使った水中部点検の実績も豊富だ。当日は、「FIFISH E-GO」の紹介のみならず、NETISへの登録実績や、水中ドローンのさまざまな利活用シーンや撮影データ加工実績、さらに水中構造物の傷を自動検知するソフトウェア(開発中)のデモ画面なども紹介していた。
「FIFISH E-GO」の推しポイントは多数あったが、従来比2倍になったモーターは見逃せない。配管調査の点検では非常に重宝するという。またバッテリー交換式で、ホットスワップ設計により電源オフして再起動することなく、バッテリーを交換できることも、業務生産性向上の観点ではメリットが大きい。
【Offshore & Port Tech 2024出展情報】
・ 小間番号:1B-22
・ 出展社プレゼンテーションあり:4月12日(金)13:40~14:10【C会場】
・ 詳細情報:https://www.informa-japan.com/sj/complist/detail.php?exid=S24108714
日本水中ドローン協会/スペースワン共同出展「水中ドローン CHASING M2シリーズ」
日本水中ドローン協会は、認定スクール55校、協会会員数約1,400名で、神戸市やNIROをはじめとする公共会員も多数(2023年10月現在)。スペースワンが事務局運営を担っている。水中ドローンの用途に関する最新トレンドや、戦後インフラの老朽化や潜水業務の増加といった水中ドローンが求められる背景、広がり続ける活用分野など、幅広く解説した。
また、同協会が特に力を入れてきた水中ドローンの普及や啓蒙活動、人材育成について、近年の実績も報告した。2023年3月には和歌山県で7社の水中ドローンが大集合するデモンストレーションイベントも実施したという。
屋外の展示ブースではスペースワンが、「CHASING M2 PRO MAX(チェイシング)」を用いた画像鮮明化の実演や、「CHASING M2 S」「blueye X3(ブルーアイ)」の展示を行った。
【Offshore & Port Tech 2024出展情報】
・ 小間番号:1B-18
・ 詳細情報:https://www.informa-japan.com/sj/complist/detail.php?exid=S24137550
水龍堂「龍頭」
水龍堂は、ROVの開発をはじめ、水中用計測機器の開発や調査・コンサルティング、受託開発、市場調査や製品開発支援、またオペレーター育成など幅広い事業を手がけている。
自社開発のROV「龍頭」は、インフラ点検に適した600mmのマンホールにも投入できるサイズにしたという。代表の佐藤氏はもともと海洋調査機器の輸入代理店に勤めていた経歴の持ち主で、一般社団法人日本ROV協会の立ち上げメンバーでもある。
デモンストレーションでは、「龍頭」を展示したほか、画像鮮明化装置の実演を披露しつつ、その幅広い用途について来場者に詳しく説明していた。例えば、水中構造物の傷の有無や補修対象になるかどうかの確認に役立つことや、水中の取得データを使ったフォトグラメトリでも画像鮮明化処理が非常に有用であることなど。実際の水中映像を見ながら話を聞くとより一層有用性が伝わった。
【Offshore & Port Tech 2024出展情報】
・ 小間番号:1C-18
・ 詳細情報:https://www.informa-japan.com/sj/complist/detail.php?exid=S24109628
炎重工「水上点検ドローン」
炎工業は、東京海洋大学と水上ドローンの共同開発を行っている。OS、ソフトウェア、ハードウェア、全て自社製で、乗っ取り防止やカスタマイズの要望にも応えやすいのが利点だという。同社はさまざまな形状、サイズの水上ドローンの開発を手がけているとのことで、救助艇、給餌ロボットなど、多岐にわたる用途の紹介動画を表示しながら製品の説明を行った。
また、このほかにも監視、物流、水面清掃、海床など、水上ドローンの用途の多様性を打ち出しながら、水上ドローンの遠隔操作についても動画を用いて分かりやすく説明した。デモンストレーションでは「ビート板タイプ」の水上ドローンの実演を行った。
【Offshore & Port Tech 2024出展情報】
・ 小間番号:1D-22
・ 詳細情報:https://www.informa-japan.com/sj/complist/detail.php?exid=S24143609