2024年1月29日、日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は東京都内で「新春パーティー2024」を開催した。このパーティーは、JUIDA会員をはじめとするドローン産業の関係者が一堂に集まり、今後のドローン産業における更なる発展を祈念するために毎年開催している。

日本UAS産業振興協議会 鈴木真二理事長。

 最初にJUIDAの鈴木理事長は、2024年で創設から10年目であることを記念し、開設から10年の歩みを紹介。

 JUIDAが運営するスクール事業では、JUIDA認定校を修了した会員数は昨年度から約4000人増加し、国家資格の講習に対応できる登録講習機関は昨年度から3倍弱となる合計173校が認定されたことを説明した。

 JUIDAは現在インドネシアでもドローンスクールを1校開校しており、今後は東南アジアをはじめとした世界各国で、各外国諸国とも積極的な連携を期待しているという。

 JUIDAの10年間の軌跡やスクール事業、国際連携活動の紹介のほか、社会貢献活動の拡充事例として元旦に発生した能登半島地震への対応や取り組みに関しても説明が行われた。

 JUIDAは1月4日に輪島市から協力要請を受け、ブルーイノベーション、Liberaware、ACSL他13社の会員企業と連携し、捜索活動や被災状況の調査、物資輸送などに対応。

 8日には孤立地域となってしまった避難所(鵠巣小学校)に3名分の医薬品をドローンで輸送した。その後1月10日には陸上自衛隊第10師団と協定を締結し、1月14日には珠洲市からの協力要請も受け、被災状況の調査対応を実施。

 被災者捜索のほか軽油20Lの配送や漁港など被災した施設の現状調査なども行い、現在JUIDAは現地のドローンオペレーションを統括しながら関係機関として日々の活動を報告している。

 そして、毎年新春パーティーで発表しているスローガンを披露した。

 鈴木理事長は2021年の「ドローン災害活躍元年」の理由となった熱海市伊豆山神社で発生した土石流災害や能登半島地震について、このような災害時にドローンが活躍することが広く世の中に認識されてきたとコメントした上で、2024年のスローガンは「ドローン社会貢献元年」とすると発表した。

国会議員や自衛隊所属の来賓11名が登壇、ドローンの社会実装や災害支援に注力

 新春パーティー2024にはJUIDA会員のほか、国会議員や自衛隊本部長など計11名の来賓が参加し、能登半島地震に対する支援への方針やドローンの社会実装に対する意気込みなどを語った。来賓は以下の通り。

1. 衆議院議員 無人航空機普及・利用促進議員連盟 会長代理 田中和德氏
2. 衆議院議員 無人航空機普及・利用促進議員連盟 副会長 櫻田義孝氏
3. 衆議院纇員 無人航空機普及・利用促進議員連盟 事務局長 山際大志郎氏
4. 参議院議員 無人航空機普及・利用促進議員連盟 顧問 山東昭子氏
5. 国土交通副大臣 衆議院議員 國場幸之助氏
6. 衆議唍讟員 無人航空機普及・利用促進議員連盟 幹事 宮下一郎氏
7. 経済産業省 製造產業局 航空機武器宇宙産業課 次世代空モビリティ政策室長 滝澤慶典氏
8. 国土交通省 航空局 安全部 無人航空機安全課長 梅澤大輔氏
9. 陸上自衛隊 教育訓練研究本部 本部長 廣惠次郎氏
10. 衆議院議員 無人航空機普及・利用促進議員連盟 幹事 宮路拓馬氏
11. 衆議院議員 無人航空機普及・利用促進議員連盟 事務局次長 今枝宗一郎氏

衆議院議員 無人航空機普及・利用促進議員連盟 会長代理 田中和德氏

 田中氏は「空飛ぶクルマ、ドローンと共に未来を作っていく。そしてありとあらゆることにドローンや空飛ぶクルマが活躍しなければ目的が達成できないという未来や今日がある訳でございます。私たち議員連盟は更に研鑽をし、JUIDAの皆さんと共に国家国民のためにお役に立っていきたいと思います。そしてできればお話がありましたように、世界に向けて力強く発信することができればと思います」と本年度の抱負をコメントした。

衆議院議員 無人航空機普及・利用促進議員連盟 副会長 櫻田義孝氏

 櫻田氏は「今後、北陸だけではなく日本各地いつ何処でも大規模災害が起きるか分かりません。こうした防災ドロップの技術開発を緊急に実施していく必要があります。さらにウクライナ戦争ではかつてないほどドローンが使用されており、世界の軍事大国はドローンへの技術開発に非常に注力しています。個人としては民生用に活用すべきと思いますが、我が国もこうした分野に対応することが喫緊の課題ではないかと考えております」と述べた。

国土交通副大臣 衆議院議員 國場幸之助氏

 國場氏は「災害支援をする中でドローンを活用して医薬品を届けたり被災状況を把握したり従来の震災に対する関わり方が革命的に変わってきていると思います。そういった試みをJUIDAの皆様が色々な形で実践されていることに敬意を表し、我々政治のサイドからも田中先生を中心に応援していくことを誓います」とJUIDAへの感謝の気持ちを込めながら挨拶を行った。

衆議唍讟員 無人航空機普及・利用促進議員連盟 幹事 宮下一郎氏

 宮下氏は農林水産省としての観点から、ひとりひとりの食料安全保障や買い物弱者をテーマに宮下氏の地元でケーブルテレビを介して公民館から自宅までドローンが食材を届けている事例を紹介。その上で「これからデジタル田園都市構想そしてスマート化を支える基盤技術であると実感している」と語った。

経済産業省 製造產業局 航空機武器宇宙産業課 次世代空モビリティ政策室長 滝澤慶典氏

 滝澤氏は「災害現場におけるドローンの需要は非常に高まっています。ドローンは今後も災害現場でさらに活躍していくことが期待されていますが、そのためにはペイロードや飛行時間の制約といった課題を産学官が一体となってひとつずつ解決していきたいと思います」と述べ、経済産業省としてもドローンや空飛ぶクルマの社会実装を加速させていく意気込みを語った。

国土交通省 航空局 安全部 無人航空機安全課長 梅澤大輔氏

 梅澤氏は「ドローンの飛行安全を確保していくことは大前提ですが、その中で新しい制度を活用してドローンの利活用の幅を広げていきたいと考えています」とコメントし、能登半島地震におけるJUIDAの積極的かつ献身的な貢献に感謝を述べた。今後のドローンによる災害支援については「航空局としてもJUIDAの知見を借りながら対応していきたい」とのことだ。

陸上自衛隊 教育訓練研究本部 本部長 廣惠次郎氏

 廣惠氏は能登半島地震の支援状況について述べ「北海道から沖縄まで数百機のドローンを使って支援訓練を行っており、今後ドローンを使用した支援の重要度はますます高まると考えている」とコメントし、陸上自衛隊にとってドローンが重大な役割を担っているという現状について述べた。