2023年9月7日~8日、長崎県の出島メッセ長崎において、第2回ドローンサミットが開催された。長崎県五島市で医薬品ドローン配送サービスを手がける「そらいいな」をはじめ、大分県ドローン協議会など、九州エリアの旬なプレイヤーが集結した。また、九州初上陸で注目のテトラ・アビエーションなどの大型機展示や、ACSLや日本水中ドローン協会による地元事業者との“コラボ出展”も、長崎ならではの見どころだった。

注目を集めた「空飛ぶクルマ」の実機展示

 展示会場の入り口左手で、ひときわ目立っていたのは「空飛ぶクルマ」の「テトラ・アビエーション」。自社で開発し、実際に飛行試験を実施したという「Mk-5」の実機が展示された。

 長崎大学や九州大学の学生も設営に協力したという。じかに機体に触れる貴重な機会になったのではないだろうか。

 航空機の翼作り体験をした人にはステッカーをプレゼントしてくれるということで、早速試してみた。

プレゼントされたステッカー

 そのお隣、入り口すぐの場所には、長崎県五島市で医薬品ドローン配送サービスを手がける「そらいいな」の展示。ジップライン社製、小型固定翼機の実機が吊られ、荷物をパラシュート投下する象徴的な姿を披露していた。

 機体が離着陸するための専用のシステムは、パネル展示で説明していた。

「大分県ドローン協議会」は、本サミット最大規模となる展示ブースを出展し、ドローンサッカーデモフライトなども行った。

 特に注目を集めていたのは、2023年6月30日からの大雨で、大分県由布市湯布院町での大規模な地すべりが発生したとき、発災直後の孤立世帯へ救援物資を配送したシーアイロボティクス社製「ciDrone TR-22」。

 20kgの物資を搬送できる資材運搬ドローンとしてすでに商用化されている。

 同じく運搬用途のドローンでは、日本ドローン搬送協会(JDTA)の最大運搬重量49kgというパワフルな「重量物運搬ドローン」も存在感を放っていた。

 ちなみに大型機としては、ドローンエリアでの展示ではなかったものの、「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の展示ブースにおいて、全長6mもの自律型無人潜水機「NGR6000」がお披露目された。

地元事業者との“コラボ出展”も

 今回は、地元事業者との“コラボ出展”も目立った。ACSLは、長崎県で外壁診断、測量・設計、建築設計などの業務を行い、ACSL社製「SOTEN」を用いた測量も実施しているという「地域開発」と共同でブースを構えた。

 地域開発は、例えば業務報告書の現場状況写真撮影など、積極的にSOTENを活用しているそうで、絶え間なく訪れる来場者への説明対応に追われる姿が印象的だった。

 また、ACSLが行ったSOTENのデモフライトでは、来場者から「国産頑張れ!」「これなら写真測量できそう」など、激励や感心の声が多数寄せられたという。

 日本水中ドローン協会は、「東京久栄」「九電ドローンサービス」など法人賛助会員や、地元に根ざして活動する認定スクールらと共同で、産業用水中ドローンの実機展示や、水中ドローン操縦体験を行った。

「SOLASTER」が開発する国産水中ドローンのプロタイプ
長崎県初の水中ドローンスクールが操縦体験を実施
「東京久栄」が業務で使用している水中ドローンと水上ドローン
「九電ドローンサービス」も水中点検などで使用している各種水中ドローンを展示した

 ちなみに「九電ドローンサービス」は、協業している「計測検査」と共同で、別のブースも出展して、屋内点検用球体ドローン「ELIOS 3」をはじめとする各種機体を展示していた。

 少し離れたところには、ブルーイノベーションが「ELIOS 3」をはじめとする点検ソリューションや、ISOに準拠したドローンポート情報管理システム「BEPポート|VIS」などの展示を行っていた。

「身近さ」を感じられるコンテンツ満載

 長崎県佐世保市の「Flight PILOT」は、プロポで遠隔操作できる水難救助用の浮きを披露。浮き輪が泳いで要救護者のもとへ駆けつけるという。

レスキュードローン

 長崎大学 山本郁夫研究室は、沿岸域における未踏領域の藻場生態系調査を可能にし、ブルーカーボンの定量化を実現する水中ドローン「REMONA」を展示した。研究室の学生らも自らブースに立って説明していた。

「若者ドローンアイデアコンテスト」は、小学生部門、中高生部門、大院生部門で行われ、陸・海・空を問わず、ドローン(無人機)の活用によって、地域や暮らしの課題を解決できるアイデアが集まった。展示会場外に掲示された各アイデアに、来場者がいいなと思うものにシールを貼って投票する姿も見られた。

小学生部門グランプリ「海の上と砂浜のゴミを集めるドローン」
中高生部門グランプリ「ドローンを防災時の社会的インフラ補助に活用」
大院生部門グランプリ「路面電車 × eVTOL」

 パーソルとドローンエモーションは、ブース内にドローン体験場を設置して、ノンプログラミングで自動飛行が可能なトイドローン(DRONE STAR PARTY)を用いた、手動飛行と自動飛行の体験会を実施した。ドローンエモーションでは、このようなトイドローンを用いた法人向けチームビルディング研修も企画、実施しているという。

 いよいよドローンの社会実装に注目が高まるなか、九州エリアのプレイヤーや学生らが多方面から参加し、ドローンをより「身近に」感じられる機会になったのではないだろうか。

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