2022年6月21日〜23日に開催されたJapan Drone 2022では、水中ドローン、水上ドローンの展示も活況だった。主な出展企業はスペースワン、ジュンテクノサービス、エバーブルーテクノロジーズで、数年前に発売されて現在も広く活用されている「現役機種」から、2022年春以降に登場した「最新機種」まで、一挙にお披露目されていた。日本では珍しくノルウェーBlueye Robotics社製「The blueye X3」のモックアップの展示もあった。

スペースワン「CHASING M2 PRO MAX」販売受付開始

 CHASING国内正規代理店のスペースワンは、CHASING社製水中ドローンのこれまでの進化が一目で分かるよう、歴代機種と最新機種を並べて展示していた。

 中でも2018年に登場した「GLADIUS MINI」は、コンパクトな機体で携行性がありながらも、機体を水中で傾斜させたまま潜航や浮上ができ、筆者がここ1年以内に取材した中でも「現役」として現場で出会った機体だ。しかし水中ドローンの「進化」という点では、「CHASING M2」が2020年に発売されて以降、約1年おきに機体性能や拡張性にアップデートがあり、その進化は飛躍的だったという。

 「CHASING M2」は、8基のスラスターを搭載する黄色の機種だ。前後や真横への水平移動が可能で、最大潜航深度は100m。仕様書によると、1200万画素、1/2.3インチCMOSセンサーカメラ搭載で、4K(30fps)/1080p(スローモーション120fps)の動画、高画質静止画を撮影できる。EISアンチビジョンシェイク機能で、水中でも安定した撮影が可能になるという。バッテリーは交換式で、97Whと200Whを選べ、ケーブル長も100mと200mの2パターン用意がある。

 続いて、「CHASING M2」の隣に展示されていたのが、2021年に発売されたオレンジ色の「CHASING M2 PRO」。8基のスラスターを搭載し、前後や真横への水平移動もできる点はM2と同じだが、モーター出力が50%アップしたという。また、交換式バッテリーの容量も300Whと700Whに増え、最大潜航深度は150mに深化した。

 「M2」からアップグレード版となる「M2 PRO」へ進化した最大の特長は、高性能な複数のオプションを追加で同時接続できるようになった点だ。オプションの「マルチインターフェイスドッキングステーション」をM2 PROに搭載すれば、濁度の高い水中を可視化できるマルチビームソナーや、水中で機体の位置をリアルタイムに特定するためのUSBL水中ポジショニングシステム、外部カメラなどを使用できる。

 また、追加されたAC電源システムに接続すれば、給電しながら(理論上は)無制限に運用できるようになった。これらのM2 PROオプション製品を運用するプラットフォームとして、屋外の強い日差しの下でも画面が見やすい高輝度モニターを搭載した、CHASINGコントロールコンソールも提供されているが、スペースワンのブースでは、このような拡張性が分かりやすく展示されていた。

AC電源システム

最新機種「CHASING M2 PRO MAX」

 水槽では、最新機種「CHASING M2 PRO MAX」のデモンストレーションが行われていた。M2 PRO MAXは、M2 PROよりモーター出力が30%アップ、最大潜航深度が200mに、LEDライトが可動式になるなど、さまざまなアップグレードがあるが、MAXの進化における注目点は、ドッキングステーションが内蔵され、複数のオプションをスマートに装備できるようになった点だ。DVLによる定点保持にも対応するという。本展示会で、世界でも先駆けて販売受付を開始したと発表した。

「CHASING M2 PRO MAX」

 通路側に設置された水槽には絶えず人が立ち止まり、水中ドローンが滑らかに動く様子を観察したり、動画を収めたりする人が目立った。

「blueye(ブルーアイ)」も初登場

 CHASING社製の機種がずらりと並ぶ中に、ノルウェーのBlueye Robotics社製「blueye X3」のモックアップが展示されていたのも見逃せない。仕様書によると、機体サイズは、縦485mm×横257mm×高さ354mmと小型ながら、水深305mまで潜航が可能。

 同社機種の国内販売について、Japan Drone 2022出展時は未定とのことだったが、後日ドローンジャーナルの独自取材にてスペースワンの小林社長は、「取り扱う予定だ」と回答した。ちなみにblueyeはSDKを公開する予定があるという。水中ドローンの拡張性や他社水中機器との統合において広がりを期待できるニュースだ。

「blueye X3」のモックアップ

 また、スペースワンのブース内には、2019年に設立された一般社団法人日本水中ドローン協会のコーナーもあり、連日にわたり来訪客が連なっていた。日本水中ドローン協会は、「水中ドローン安全潜航操縦士」の育成とライセンス認定を行っている。