9月29日、30日の2日間、千葉市の幕張メッセで「Japan Drone 2020」が開催された。同展は例年3月に開催されているが、今年は新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、9月に延期されての開催となった。当初は出展者や来場者の大きな減少が見込まれていたが、最終的に出展社は104社・団体にのぼった。

KMT

 仏Parrotのエンタープライズ製品を輸入販売するKMTは、9月24日に米AUTEL ROBOTICS社と代理店契約を締結。KMTのブースはこのAUTELというブランドを前面に打ち出し、小型ドローン「EVOⅡシリーズ」を展示し、多くの来場者の注目を集めていた。
 EVOⅡシリーズはローター対角397mmの、ローターアームが収納式の小型ドローンだ。耐風速17m/s、最大飛行速度72km/hという性能を備え、最大で約40分の飛行が可能。今回リリースされたのは、最大で8K25p動画が撮影可能な「EVOⅡ」と、最大6K30pの撮影ができる「EVOⅡPro」、そして最大8Kの可視光カメラとFLIRのBOSON赤外線センサーを搭載した「EVOⅡDual」の3モデルだ。
 「EVOⅡシリーズはスマートフォンを使わなくてもコントローラーだけでカメラ映像を見ながら飛行させることができる。また、合計12個のカメラで6方向の障害物を回避しながら飛行させることが可能。さらにカメラを取り外せるため、ひとつの機体でミッションに応じてカメラを交換することができる」(説明員)というメリットがあるという。

オプションのプロペラガードを取り付けた状態の「EVOⅡ」。ソニー製の4800万画素1/2インチセンサーを採用したカメラを搭載している。
DJIのMavic 2 Proと競合する「EVOⅡPro」。2000万画素のソニー製1インチセンサーを採用し、10bit A-Logによる記録ができる。
EVOⅡDualはFLIRのBOSONセンサーを採用。640×512ピクセル14mm(画角32°)と320×256ピクセル6.3mm(画角34°)のカメラがあり、640×512ピクセル9Hz(米国以外)の動画が撮影可能。カメラユニットはEVOⅡシリーズの3機種で互換性がある。
EVOⅡシリーズには6方向に2個ずつ備えたカメラにより衝突回避機能を実現。底面には超音波センサーと強力なLEDライトを備えている。
スマートフォンなどを上部のホルダーに取り付けるスタイルのコントローラー。中央のカラー液晶ディスプレイには、カメラが撮影した映像も表示できるため、スマホアプリを使わなくても撮影が可能。

 また、KMTでは7月に発表したParrotの「ANAFI USA」も披露。同機はParrotが米陸軍の近距離偵察用として開発したドローンをベースにしており、文字通り“Made in USA”としてセキュリティに敏感なユーザーに向けたモデルとなっている。カメラには2100万画素の1/2.4センサーを使った、32倍ズームの遠距離用と広角の近距離用可視光カメラと、FLIR BOSON赤外線カメラを集約したジンバルカメラを搭載。IP53規格の防塵防滴性能を備え、タフなミッションをこなすことができる。「技術基準適合証明を取得するのを受けて、10月下旬には販売を開始したい」(説明員)としている。

 今回、KMTではParrotに加えてAUTELの製品を扱い始めたことで、「可視光カメラ搭載ドローンであれば10万円前後のParrot ANAFI、20万円前後のAUTEL EVOⅡシリーズ、赤外線カメラが必要であればANAFI THERMALなら23万円程度、EVOⅡDUALは74万円、ANAFI USAは76万円と、予算に応じての選択肢が大きく増えた」(説明員)という。

ParrotのANAFI USA。ジンバルカメラの大型化などにより増えた離陸重量に合わせてバッテリーなどを増強した結果、ベースとなったANAFIよりファットな印象を受ける。
32倍のズームカメラと広角カメラ、赤外線カメラという3つのカメラを備えたANAFI USAのジンバルカメラユニット。
バッテリーはANAFIの2700nAhからANAFI USAでは3400mAhに増強されている。(写真は米国仕様。日本向けにはPSEマークを取得予定)
コントローラーはANAFIと共通のものとなっている。
専用の防水ハードケースに納められたANAFI USA。標準でバッテリーが3個同梱となる。