東京航空計器

 航空機用機器の技術を活かし、独自のフライトコントローラーやドローンを開発する東京航空計器は、同社が開発しているクワッドコプターとシングルロータードローンの「GNAS SKY」シリーズを展示。シングルローター機は飛行時間が40分と長く安定性に優れており、3kg程度のペイロードを活かした物資輸送や長距離飛行による監視業務を想定している。一方、クワッドコプターは実際にユーザーのニーズに応じた形で開発を進めており、点検用途などを想定しているという。

開発中のシングルロータードローン。手前の機体が最新のモデルで、機首に付いた複数のカメラで監視業務を行う想定となっている。
クワッドコプターは可変ピッチ機構を備え、ひとつのモーターでベルトを介して4つのローターを駆動する。

日本海洋

 おもに海洋・環境調査計測機器などの販売を手掛ける日本海洋は、測量・警備捜索用の固定翼ドローンや、監視用の有線給電ドローンなど、官公庁などに向けたドローン製品を展示していた。固定翼ドローンはC-ASTRALエアロスペース社製の「C4EYE」で、巡航高度は最大5000mにも上り、最高速度は約100km、最大滞空時間は90分という性能を備えている。6.6倍光学ズームカメラと赤外線カメラを搭載し、警備や捜索での使用を想定している。
 一方、フランスElistair社の「オリオン有線給電無人航空機システム」は、ヘキサコプターと地上からの電源供給・制御を行うケーブルがセットになったもの。機体には30倍の光学ズームカメラと赤外線カメラが搭載されており、最高80mの高さから10時間以上連続しての監視ミッションが可能となっている。

スロベニアC-ASTRALエアロスペース社製の「C4EYE」。翼幅155cmの固定翼機で、離陸は手投げ、着陸はパラシュートを利用して行う。
フランスElistair社製「オリオン有線給電無人航空機システム」。

大型ドローンゾーン

 今回のJapan Drone 2020では、特別企画として大型ドローンゾーンが設けられ、全長5m以上または自重50kg以上の機体を展示。展示フロア入り口付近に位置していたこともあり、多くの来場者の注目を集めていた。

大型の固定翼機の開発を行っているテララボは、従来の翼長4mの飛行試験エンジン機(写真奥)に加えて、新たに翼長8mの固定翼機のモックアップ(写真手前)を展示。この大型機は高高度からの情報収集を目的としており、高度1万~2万mから地上を撮影することを目指しているという。
テクノシステム、湘南工科大学、サレジオ工業高等専門学校が共同で出展していたスペースフレームドローン「RD360」。大きなペイロードを実現するには軽くて強い機体が必要であり、それにはトラス構造が最適であるというコンセプトのもとに開発された。今回の展示機は中央部に座席を設け、左右にフロートを装備することで、水上での救難用途を想定しているが、将来的には荷物を搭載する“空飛ぶトラック”としての活用を目指している。
風の力だけで進む帆走ドローンを開発するエバーブルーテクノロジーズは、海上における実証テストを成功させた帆船型ドローンの実証機「Type-A」を展示。風向きに応じてフライトコントローラーが適切な帆の角度を計算して、風の力だけで進むことができる。また先ごろ業務提携したExtraBold社の大型3Dプリンタによって出力したメインハルも展示。造形時間の短縮や一体構造で出力できることによる、強度の向上や軽量化が見込めるとしている。