ブルーイノベーション

 JUIDAと並んでブースを展開していたブルーイノベーションは、これまでに培ってきたBlue Earth Platformの技術を活用したさまざまなソリューションを展示していた。そのひとつとして注目を集めていたのは、関西電力と自律制御システム研究所(ACSL)などが開発した煙突点検用ドローンだ。
 同機はGNSSを利用できない煙突という空間で利用するために、LiDARで煙突内での水平方向の位置を、下向きのカメラで煙突の底部に設置した線状のLEDを認識することで機体の向きを制御して飛行する。今後は関西電力だけでなく他の電力会社をはじめ、煙突での点検サービスを展開するとしている。

関西電力が開発した煙突点検用の自律飛行ドローン。ACSLのPF-2をベースにLiDARやカメラとLEDの組み合わせで、非GNSS下でも安定した飛行を実現する。
機体頂部に取り付けたLiDARにより煙突の内壁との距離を測定して円の中心を飛行。また、画角が違う2つの下向きカメラ(右写真のミラーレスカメラの奥)で、煙突底部に設置したLEDを認識して、機体の向きを制御する。

 また、同社の新しい動きとして長野県王滝村の御嶽山で8月から始めた、山小屋に向けた物資輸送の実証実験で使用しているドローンを公開。 実験開始当初は王滝村のおんたけ2240スキー場の駐車場と標高差のある着陸地点との間で数kgの物資を輸送。今後はペイロードを増やし、2021年春には8合目(標高2470m)にある女人堂山小屋までの物資を運ぶ予定だ。
 山岳地帯における飛行は、標高があるため空気が薄く、通常のプロペラでは浮力が得にくいために、それに応じたプロペラやモーターを使う必要があるなど課題が多いという。そのため、同社では今後も山岳飛行のための機体開発を続け、2021年後半には、ソリューションとして完成させたいとしている。

ACSLのPF-2をベースに山岳飛行に最適化したドローン。空気の薄い高高度を飛行するため、高い揚力が得られるプロペラやモーターを採用するなどの工夫が施されている。

會澤高圧コンクリート

 10kgのペイロードを搭載しながら、1時間の飛行が可能なエンジンハイブリッドドローン「Airborg H8 10K」を出展していた會澤高圧コンクリート。同社はコンクリートを扱う企業であり、このドローンは液体状のコンクリート補修材を搭載して、高所での作業に使用する目的で開発した。現在、ドローンと補修材の開発を並行して行っている中で、先行しているドローンの開発の成果を出展した形だ。
 米Top Flight Technologiesと提携して開発を進めているこのドローンは、二重反転式ローター8基を備え、水平対向2気筒の150cc空冷2ストロークエンジンを搭載し、エンジンが発電した電力で飛行する。約10㎏という大きなペイロードにより、液体のコンクリート補修材を搭載して飛行することができる。また、機体先頭部にLiDARを搭載するほか、高画素のカメラ、赤外線カメラを装備しており、構造物の点検などにも利用可能だ。
 北海道に本拠を置く同社では、道内に多い大規模な農業用水路の補修なども手掛けている。従来、人が歩いて水路の点検を行ったうえで補修を行っているが、このドローンで点検と補修を同時に行うことを視野に入れているという。

會澤高圧コンクリートのエンジンハイブリッドドローン「Airborg H8 10K」。
機体底部に搭載された水平対向2気筒空冷2ストロークエンジン。エンジン後方の発電機を駆動する。
同社では専用のドローンポートのコンセプトも展示。ポートに収納された機体の燃料タンクのキャップ部にブームが伸びて、自動で給油する様子が映像で流されていた。