エアロジーラボ

 長距離ドローン配送の実証実験などに使われているエンジンハイブリッドドローンで知られるエアロジーラボは、既存の「AeroRange1」の後継機となる、大型の「AeroRange PRO」と小型の「AeroRange QUAD」を展示していた。いずれも発電用のエンジンを搭載し、CFRP(カーボンファイバー)やマグネシウム、ジュラルミンといった素材を組み合わせ、高い信頼性を備えたドローンとなっている。
 AeroRange PROはローター間1660mmの大型ヘキサコプターで、最大飛行時間150分、最大ペイロード10kgという性能を備えた同社のフラッグシップとなる汎用ドローンだ。ACSL製のフライトコントローラーや、YPU製のモーター、ESC、エンジンなど、日本製コンポーネントを採用し、高い耐候性や信頼性を誇る。一方AeroRange QUADは最大120分というハイブリッド機ならではの長時間飛行を可能としながらも、クワッドローターとすることで小型化。価格もPROの半額程度と導入のしやすさも特徴となっている。

“純国産”がコンセプトの「AeroRange PRO」。
小型で廉価版となる「AeroRange QUAD」。
いずれも胴体にCFRPによるモノコック構造を採用しており、PROは雨天でも飛行できる全天候性能を備えている。

エアロディベロップジャパン

 より重い荷物を遠くまで運ぶことができるドローンの開発を手掛けるエアロディベロップジャパンは、同社が独自に開発したハルバッハ配列モーター/発電機システムを使った、「ハルバッハ型ハイブリッドエンジン」を展示していた。
 ハルバッハ配列モーターは“ハルバッハ磁石配列”という特殊な磁石の配列を採用することで、一般的なモーターに比べて強力な磁界を発生することが可能。そのため同じ出力であればモーターを小型化することができる。このハルバッハ配列モーターを発電機として利用し、より高い回転数で駆動することができるタービンエンジンと組み合わせることで、ドローンに搭載するのに最適な小型で高出力の発電機を実現できるという。
 この小型高出力のハルバッハ配列モーター/発電機は、重量当たりの出力で比べた場合、リチウムイオン電池の5倍以上、UAV用燃料電池やハイブリッドガソリンエンジンと比べても2倍近い出力が得られる。今回出展しているハルバッハ型ハイブリッドエンジンも、30kWという非常に大きな出力を実現している。

30kWガスタービンハルバッハ型ハイブリッドエンジンのコンセプトモデル。右側がハルバッハ配列発電機となっている。

ニックス

 プラスチック製品メーカーのニックスは、同社の成型技術などを活かして開発を行っているドローン向けアタッチメント三点を出展。ひとつは配送用ドローンの荷物搬送ユニット「ドローンキャッチャー」で、搬送品を収めたパッケージを保持する“アタッチメント”部分だ。パッケージの大きさに合わせてアームの長さを調整でき、ボタン操作やドローン側からの電気的な指示によりパッケージを開放することができる。
 2つ目は荷物昇降ユニット「ウインチリールフック」で、荷物を吊下げるためのもの。フック部は輸送中に誤って開いてしまわないように、荷物を地上に接地させて荷重が抜けることを3回繰り返すことで開放する仕組みとなっている。さらに3つめは農薬や種を散布する粒状散布ユニットで、駆動部の工夫により様々なサイズの散布物に対応するという。

楽天の配送用ドローンに取り付けられた「ドローンキャッチャー」。
荷物昇降ユニット「ウインチリールフック」。主にレスキューの場面で必要な5kg程度の物資を吊下げて運ぶ。
粒状散布ユニットはひとつのアタッチメントで、肥料、薬剤、種子に対応することを目指している。