自然環境ソリューション業界No.1を目指す「ヘキサメディア×JDRONE」
JDRONEは、これまで野口氏が手がけてきた火山火口調査や離島撮影等の特殊空撮・映像撮影を「ヘキサメディア」というブランドとして価値を高め、同社が誇るドローンソリューション事業として積極的に展開していく。
ドローンの活用で火山の定期的観測を実現
ドローンの利活用は、火山火口調査においても進んでいる。これまでヘリコプターなどの有人機で実施されていた火口調査が、ドローンの導入により予算を大幅に削減し、安全性を確保しながら定期的かつ定量的な観測が可能になった。
航空写真家として約20年以上の経歴を持つ野口克也氏は、累積約50件もの火山調査実績を誇るドローン火口調査のスペシャリストだ。2015年の映像取材にはじまり、2018年には西之島で溶岩領域の赤外線調査と火砕丘の岩石のサンプリングを実施、また気象庁から委託を受けた「無人航空機による火山噴火時等における火口周辺調査」では浅間山、阿蘇山、薩摩硫黄島、口永良部島において長距離の観測飛行を実施した。浅間山では、2021年に標高2,568m、最大飛行距離片道約4,500m、離着陸場所からの最大高度差約1,700mの飛行調査に成功している。
主な調査手法としては、火山活動の推移を的確に把握するために、立入許可エリアからドローンを噴火口直上まで飛行させ、火口丘や周辺火山の噴出状態や地熱域状況を撮影する。調査対象となる火山の火口丘とその周辺を空中から撮影し、数回の飛行により分割で撮影した複数枚の画像を用いて三次元地形情報を生成。撮影は赤外線オルソ画像と可視オルソ画像に加えて動画撮影の3つのパターンで行うことが多いという。とくに赤外線カメラ撮影時は太陽光の影響を排除するため、夜間に飛行することでより正確な温度分布が測定できる。
例えば、DJI社の産業用ドローンMatrice 300 RTKに可視光カメラと赤外線カメラを搭載し、火口上空から撮影すると、火山活動の状況を評価する上で重要な地熱域の広がりや噴気の状況、岩の崩落、溶岩の盛り上がりや色の変化などが確認できる。
火山の火口丘や周辺地域の地形変化を追跡することは、噴火活動の予測と管理に役立つ。ドローンを活用することで災害対策に効果的なモニタリングが実現する。
特殊な調査の可能性を拡大、ドローンによる社会貢献を提供
野口氏は、これまでヘキサメディアの代表として専門知識に裏付けられた空撮技術をもって高品質な映像・写真を提供しており、火山火口調査をはじめとする特殊空撮の実績を積み重ねてきたが、さらなる調査活動の範囲を広げるため、2023年9月1日よりJDRONEへ合流しヘキサメディアのブランドマネージャーとしてその腕を振るっている。
JDRONEは産業用ドローンのトータル支援プロバイダーとして、防災・災害対応、カーボンニュートラル、福島復興支援をはじめとするドローン運用による社会課題の解決に取り組んでいる。自然環境による災害対策にドローンを活用するという双方の共通理念をもとに、トーテックグループとしてドローンソリューション事業の拡大をねらう。
また、JDRONEはトーテックアメニティのグループ会社として教育研修に力を入れており、野口氏が火山火口調査や離島撮影などの特殊撮影で培ってきた高度な技術やノウハウを若手ドローンパイロットに継承することで、課題となっているマンパワー不足を解消し、特殊調査の案件実績を効率的に伸ばすことも期待される。
火山調査や被災地でのドローン運用は、困難な状況でのオペレーションを強いられることが多いが、今後もドローンの利点を最大限に活かして迅速な情報収集や減災など「社会貢献」としてのドローン運用を目指していく。
火山調査に必要な特殊な運航スキル
【Skill.1】遠距離目視外飛行
【Skill.2】夜間飛行
【Skill.3】天候/風況の観測スキル
特殊で高難易度な運航は、精密なプランニングと経験に基づくシミュレーションがカギ
距離と標高差のある火山上空では、撮影に割ける時間はごくわずかに限られる。撮影は精密なプランニングとアプリケーションソフトを活用したシミュレーション、そして豊富な経験が必要不可欠だ。火山上空の夜間飛行は人工的な灯りが一切ないため、4キロ先で飛行する機体も目視で確認できる。野口氏は、長年のヘリコプター飛行操縦とドローンのフライト経験で撮影対象地の地形と天候、気象の特性も把握しており、飛行中の機体の姿勢から風の流れを察知する。ドローンの下降速度、上昇速度、垂直距離を勘案し、バッテリーの消耗と撮影ボリュームから降下帰還のタイミングを決断することがポイントだという。
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