9月7日~8日の期間、長崎県長崎市の出島メッセ長崎にて、第2回ドローンサミットが開催された。同展示会では、屋外イベントとして出展企業による製品紹介を兼ねたデモフライトが組み込まれており、国産ドローンの開発メーカーであるACSLは、災害時を想定したデモフライトを披露した。

災害時にACSLのSOTENで要救助者を探す、ドローンサミットで飛行を実演!

参議院議員や長崎県知事らがデモフライトを見学。災害時におけるドローンの有用性を間近で感じた。

 デモフライトに使われたドローンは、ACSLの製品を代表するコンパクトなドローン「SOTEN(蒼天)」と、物流用途に適した中型機「PF2-AE Delivery」の2機種。これには、国土交通省及び経済産業省の政務官や鶴保庸介参議院議員、長崎県知事などが招かれ、ACSLはドローンの有用性を解説した。

要救助者の捜索に使用されたACSLのSOTEN。国のプロジェクトによる国産ドローンとして開発され、情報漏洩などに対するセキュリティー対策が施された機体となっている。
緊急物資の配送に使用されたACSLのPF2-AE Delivery。

 デモフライトは、災害現場でのドローンの活用を模擬したものだ。ACSLの担当者は、「災害で崩れた瓦礫に見立てたポイントまでSOTENを飛行させます。複数用意された瓦礫の付近には要救助者を配置しました。SOTENを使って要救助者を発見後、物流用ドローンに交換し、緊急物資を自動航行で届けます」と全体の流れを説明した。

海沿いの空き地だったため、当日は強めの風が吹いていたが、小型ながらもSOTENは安定して飛行していた。
瓦礫に見立てて設置された撮影ポイント。

 開始の合図とともに、マニュアル操縦によって、SOTENが瓦礫を目指して飛行する。拠点に設けられたモニターには、SOTENに搭載された可視光カメラの映像が見え、瓦礫を上空から撮影した様子が映し出されている。担当者は、「要救助者を見つけ出したいが、災害現場をあまりにも低い高度で飛行するには危険が伴うため、ドローンは高度15mで飛行しています。しかし、映像を見ると高度15mからでは要救助者を発見するのは難しいことが分かります」と状況を説明し、SOTENは離陸地点まで引き返した。

 SOTENが戻ってくると、操縦者はドローンのカメラをいじり始めた。担当者は、「SOTENのような小型なドローンでは、そのほとんどのカメラが固定式となっています。SOTENはカメラ交換式となっており、可視光カメラと赤外線カメラが一体となったザクティ製のカメラに交換できます。これを使用して要救助者を探してみましょう」と解説し、SOTENは再び飛行を開始した。

 先ほど可視光カメラで撮影したポイントを飛行し、赤外線カメラで映像を確認する。今度は分かりやすく赤外線カメラの説明を行うために、高度6mから撮影を行う。すると、瓦礫付近から要救助者の人影が映し出された。赤外線カメラは、熱源を分かりやすく見つけ出すため、人のほか、火災の火元の発見に役立ち、通常は高度約30mから撮影し、熱源を発見することができるという。

陸路が寸断された災害時に完全自動のドローンで物資をお届け!

 SOTENを使って要救助者を見つけ出した後、緊急物資を搭載したPF2-AE Deliveryが用意された。モニターには、PF2-AE Deliveryの操作画面が映し出され、自動航行のルートが生成されている。自動航行を行う前に、ドローンが機体の状態が安全であるかをセルフチェックし、飛行が開始された。

緊急物資を届けるPF2-AE Delivery。

 PF2-AE Deliveryは、6つの指定されたポイントを周りながら要救助者が待つ目的地に飛行。要救助者付近のポイントに着陸を行うと、緊急物資が入った箱を自動でリリースし、再び飛行していった。荷物を受け取った要救助者がドローンに触れることなく離陸ポイントに引き返す。担当者は、「ドローンはGPSの位置情報をもとに飛行しています。そのため、着陸時には、おおよそ3~4m程度の誤差が生じることがあります。災害現場では緊急を要するため、GPSのみで自動航行させ、物資を届けることを優先しています。物流では、マーカーランディングと呼ばれる着陸地点にQRコードのようなマーカーを表示したものを使用します。マーカーをカメラの画像認識などで把握することで、ピンポイントに着陸することが可能になります」と話し、PF2-AE Deliveryによる緊急物資を無事に届けることに成功した。

要救助者に緊急物資を届けた。

 見学した政務官や議員、県知事らは、より実運用に近い飛行を目の当たりにすることで、最新のドローンのテクノロジーやさまざまな想定されるユースケースなどに関心を示し、ドローンに対する期待の声が交わされていた。

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