宇宙ビジネスのほか、衛星データや地理空間サービス等を扱い「リモートセンシングで、新しい技術を作る」をミッションとするスカイマスティクスは、2023年1月18日に建設業界1,000名を対象とした建設DXに関するアンケート調査の報告を行った。

導入しているICTツールのTOP3に「ドローン」がランクイン

 企業規模別に「あなたの勤務先で導入している建設ICTツールを全て選んでください。」という設問に対して上位3位を占めた回答は「3D CAD、3次元データ作成・点群処理ソフト」「ドローン」「CADデータのクラウド共有」となった。

 建設業界はどうしてもDX化が低迷しがちな業界である一面が否定できないが、測量に関するICTツールを導入する建設関連の企業は非常に多い。中でもドローンの導入数は上位であるが、スカイマティクスプロダクトマネージャーの阿部 和博氏は「空のデジカメのような用途で使われている事が多く、工事前後の状況や現場の把握に活用されている例が目立つ」という。しかし、近年では点群データの取得や測量業務にも使用され始めており、3次元データをドローンで取得しようという動きが進んできている。

今後導入したいICTツール1位に、期待膨らむドローンの活用

 次に、「あなたの勤務先に導入したい・導入してほしい建設ICTツールについて、重要と思う上位3つをお選びください」というアンケートでは、ドローンが26.0%と1位に選ばれた。2位、3位には据置型3次元レーザースキャナー、マーキングや墨出しロボットがランクインしたが、何故ドローンが1位となったのか。

 この結果に対してスカイマティクス代表取締役社長である渡邉 善太郎氏は「建設DXは規模が大きすぎる。そのため、各企業は課題が分からなくなりがちだが、ドローンは人の代わりに現場を飛んでくれるので効果のイメージがしやすいからというのはあるだろう」と語った。

 近年では20~30万円前後で購入出来る産業用ドローンも多くなったこともあり、導入に対するハードルは下がったのだろうと考えられる。ただし、渡邉氏は「ドローンによる撮影と3次元データの取得は別の知識が必要であるため、ドローンを利用する事に抵抗があるという意見もある。機体購入等のハードルが下がっている今、次は測量等に利用するソフトウェアのハードルを下げるのが自社のミッションとなる」とも述べた。

建設業界でドローン測量を導入した効果

 建設業界でドローンが導入される要因としては「効率化」「安全性向上」「精度向上」「生産性向上」などが挙げられる。実際にスカイマスティクスの調査では、ドローン測量を導入して以下のような効果があったという回答が得られた。

現場調査にかかる時間や費用が減った
測量に費やす人員の削減をしながら測量と状況確認も同時に出来るようになった
低コストで狭い範囲の写真航空測量が出来るようになった
危険な箇所の測量をドローンで出来るようになった
足場を設置しなくても測量が出来るようになった
特に複雑な地形において、測量精度が飛躍的に向上した
ポイントも自由に設定でき、正確さが増した

 これだけみれば建設業界がドローンを導入しない理由はないように思えるだろう。しかし、当然メリットだけではなくデメリット等も存在する。

 スカイマスティクスの調査ではICTツール導入の失敗経験に関するアンケートも実施しており、その中で1位となったのは「ITスキルの高い人や若手社員のような限られた人しか使えない」という回答だった。

 建設ICTツール導入の懸念点となるポイントとしては「初期費用」「ランニングコスト」「導入しても社員が使いこなせるか分からない」「社内で導入を進めるためのICTに詳しい人材の不足」などが挙げられていることから、建設業界に限らず、ICTツールにはデジタルに詳しい人でなくても使えるツールが求められているという事が分かる。

 この結果に対して渡邉氏は「お客様がスマホを使いこなすのと同じくらい、無理なく使いこなせるプロダクトを作るのが企業の取り組むべきことだろう。ICTベンダー側は顧客が不安にならないイケてるプロダクトを開発する事が重要だと思う」とコメントした。