グリーン電力会社のafterFITは、全自動ドローンによる太陽光発電所の点検・監視業務の運用を、2月17日より自社で管理する栃木県内の発電所で開始した。発電所は無人の状態で遠隔からドローン監視・点検を行う。
2022年3月に太陽光発電の固定価格買い取り制度(FIT)が終了し、コスト削減が求められている。全自動ドローンを導入することで保守業務の省人化をはかり、近年多発している発電所内の盗難対策にも活用する。また、自社管理以外の発電所へのソリューション提供や導入提案も進めるとしている。
全自動ドローンの実用化は、栃木県那須町芦野にある発電所(1,924KW)で実施する。現地には操縦者や補助者を置かず、ドローン点検の操作はすべて東京本社から遠隔で行う(レベル3:補助者無し目視外飛行)。
発電所にDroneNest(充電ポート)とドローンを設置し、東京本社のパソコン画面上で飛行開始ボタンを押すと、ドローンがあらかじめ決められた点検ルートに沿って飛行。赤外線カメラで太陽光パネルを撮影し、自動的にDroneNestに戻る。1回の点検時間は20分程度で、充電時間は60分。防犯監視システムと連係させて、異常検知した場所へドローンを向かわせ侵入者へ警告を行うことも可能。
自社管理発電所での実証実験を終えて運用フェーズに入り、自社管理以外の発電所への導入も提案していく。
同社が実用化に向けて重要視したのは、汎用機を活用した全自動飛行点検プログラムと自社システムとの連携だという。
発電所の保守点検を目的とした専用ドローンは、開発事例はあるものの費用が高額となっていた。同社はDJI製の汎用品を活用することで、機材やプログラムのコストを半分以下とした。また、自社で画像管理・発電所の異常レポートを作成するシステムを保有しており、取得画像をクラウド経由で連携させることも可能である。
2021年12月、札幌市内において、全自動ドローンの汎用機を使った太陽光発電所の点検業務に関する実証実験を実施。そして今回は、現地に補助者がいないレベル3での運用を開始する。
全自動ドローンを導入する背景には保守コストの削減や省力化、盗難対策がある。
同社ではすでに発電所の点検業務にドローンを標準的に取り入れており、人手による点検業務では1MWあたり3時間かかるところ、ドローンでは10分となる。高齢化や人材不足によりさらなる省人化が必要となっている発電所の保守管理に全自動ドローンを活用することで、ドローンの飛行時間は同じだが、保守管理のための点検技術者の移動時間やコスト削減、省人化につながるとしている。
また、発電所内の銅線盗難に対し、防犯・監視を目的としてドローンを活用する。銅線などの盗難は、その交換のための直接的コストのほか、修理・交換が済むまでの時間に発電量が落ちるデメリットがある。同一発電所で年に数回盗難が起きる事例もあり、その対策は急務だという。
さらに、全自動ドローンの導入により、年4回程度の発電所の定期点検に加えて、台風や大雨等による被害の確認や、不具合や原因を調べるため従来よりも簡単に点検を行うことができるとしている。