2022年6月20日から「無人航空機の登録制度」が始まった。2020年の改正航空法に基づいて、登録していない無人航空機は原則飛行が禁止され、同時に登録記号を機体に表示することが義務化された。これに加え、ドローンへのリモートID機器の搭載も義務付けられているので、無人航空機の登録制度について確認しておこう。

ドローン社会には機体の所有者情報が不可欠

 2019年11月に関西国際空港でドローン飛行が目撃されて滑走路が閉鎖となり、2便が欠航となったニュースは記憶に新しい。機体の所有者情報把握は、事故などの原因究明や、安全を確保するために必要な措置を講じるため、重要なポイントになる。さらに2022年12月には、改正航空法が施行される見通しとなっており、有人地帯の上空を目視外で飛行する「レベル4」が解禁となれば、自動飛行や自律飛行する無人航空機が一気に増えるだろう。そのため、安全上問題がある機体の登録を予め拒否できる仕組みが求められている。将来的に、遠隔操作が一般化すれば、1人のオペレーターが複数機体を運用することが想定されるため、機体を個別に識別することは不可欠なのだ。

登録制度の全容と手続きを解説

 この登録制度は、2022年6月20日から開始しており、2つのことが義務化された。1つは、「機体登録の義務」だ。登録していない100g以上の無人航空機は、原則屋外での飛行は禁止され、1年以下の懲役または50万円以下の罰金という罰則規定も設けられている。もう1つは、「登録記号の表示義務」だ。機体を登録すると、その機体固有の12桁の登録記号が発行されるので、飛行時にはこの登録記号を機体に表示させ、リモートID機能を備えなければならない。

 ただし、例外もある。現存する機体については、2021年12月20日から2022年6月19日までの間、国土交通省で事前登録が受け付けられた。この期間に事前登録した機体については、リモートID機器の搭載が免除されるのだ。この場合、登録記号の表示義務は、機体にマジックで書き込んだり、テプラシートを貼り付けるといったアナログな方法で認められる。ちなみに、登録制度の開始に伴い、航空法上の無人航空機は、200g以上から「100g以上」に変更となる。機体本体の重量とバッテリー重量の合計が100g以上で、遠隔操作または自動操縦で飛行が可能な無人機であれば、小型のマイクロドローンやラジコンでも無人航空機に該当するため、2つの義務が課せられる。自作機であっても、これに該当する機体は登録対象となるので注意が必要だ。なお、事前登録した機体は、3年間の登録期間が経過して更新するときも、リモートID機器の搭載は引き続き免除される。

 登録手続きは3段階。最初に、「ドローン登録システム」にアクセスし、個人か法人かを選びアカウントを開設する。本人確認は、個人ならマイナンバーカード、法人ならGビズIDがおすすめだ。次に、「登録手数料の入金」だ。支払いは、クレジットカード、インターネットバンキング、ATMから選べる。マイナンバーカードまたはGビズIDを使ったオンライン申請なら、1件900円(2件目以降は890円)と最安値だ。左記以外を用いたオンライン申請は、1件1,450円(2件目以降は1,050円)。紙媒体を用いた郵送申請は、1件2,400円(2件目以降は2,000円)。1回の申請で20件まで登録可。最後は、「登録記号発行と表示」だ。すべての手続きが完了したのちに登録記号が発行される。