市が災害時にドローンを活用、安全運航と体制構築がカギに

 福島県南相馬市は福島ロボットテストフィールド立地決定以降、日本一実証のしやすい環境の提供を目指し、ドローンやロボットの実証実験の誘致や支援に取り組んできた。南相馬市では大雨や台風が発生した場合、市の職員が現地に出向いて状況を把握している。これは作業効率が悪いだけでなく、職員に危険が伴う。こうした背景があり、山林火災や台風においてドローンの運用を試験的に行ってきたという。今後、災害対応としてドローンを活用していくために運航管理システムを使った実証実験を実施した。

 実証は川の氾濫や土砂崩れなどを想定。広域で被害が発生した際にドローンを複数機運用し、情報収集や情報共有に役立てるといったもの。市役所と市内の5企業が連携し、写真による情報収集をはじめ、地図情報の作成、測量による3Dモデルの生成、空からの避難誘導、緊急物資輸送を想定した飛行を実施した。

 福島県南相馬市経済部 理事 企画支援担当 土井義人氏は、「位置情報を取得するためにモジュールを搭載したが、搭載したモジュールの影響による操縦への影響や高度情報の誤差が発生。また、運航管理システムのモニターはドローン操縦者のモニターとは異なるため、運航管理システムをモニタリングする補助者が必要となり、ドローンの飛行は一括管理ができるものの、複数の人員を必要としてしまうことは課題だ。今回のように災害時のユースケースでは狭い空域にさまざまなドローンやドクターヘリなどが集中することも考えられる。災害対策本部等とUASOの指揮系統の一本化および一元的な飛行・安全管理が重要となる」と運用に対する課題を述べた。

プロジェクトの成果をもとに作成された活用ガイドラインを公開

 最後にパーソルプロセス&テクノロジーは、航空法改正後にレベル4におけるドローンの運航方法が明確化されなければドローン活用の拡大が進まないと考え、実証をもとに手引きを作成し、公開したことを発表した。これは、ドローンサービス提供者や顧客ユーザー、自治体に向けて作成したガイドラインとなっており、災害時および平時のドローン運航の2つに分けて取りまとめられた。

 「運航管理システムをつかったドローン運航ビジネスの姿」では、レベル4目視外飛行の環境下における、ドローンによるビジネス提供の在り方をまとめている。ビジネスを柱に、運航管理システムの活用からビジネスモデルの構築方法まで、社会実装のヒントになる内容となっている。

 「災害時におけるドローン活用ガイドライン」は、災害発生時のドローン活用をガイドラインにしたものだ。自治体や事業者の意見を取り入れ、安全なドローン運用を解説しており、有人機との運用調整や動態管理システムのD-NETの情報収集など、ドローンの運用に関連する周辺情報の解説まで記されている。ガイドラインはパーソルプロセス&テクノロジーのWebサイトで公開している。

https://www.persol-pt.co.jp/drone/nedo_dress/