2月2日、経済産業省は自治体職員向けに次世代空モビリティ勉強会をオンライン形式で開催した。これは、ドローンおよび空飛ぶクルマの周知を目的とし、各自治体で産業に対する理解を深め、国や自治体、企業との連携を強化していくために行われ、全国の自治体から約120名が参加した。
地域でのドローン活用を促進する経産省の取り組み
まず、「空の産業革命に向けた政府の取り組み」と題して、ドローンの最新動向を解説。経済産業省が発表した空の産業革命に向けたロードマップ2021をもとに現状を説明し、それに伴って新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のDRESSプロジェクトで開発している運航管理統合機能や、全国13地域で実施された点検、物流、災害対応などの実証実験を紹介した。
なお、DRESSプロジェクトは今年度で終了し、次年度からはさらに一歩進んだ「次世代空モビリティの社会実装に向けた実現プロジェクト」を開始する。これまで、限られたエリアでさまざまな役割を担う複数機のドローンの運航管理技術を開発してきたが、次年度からはドローンに加え、有人航空機、空飛ぶクルマが同じ空域で共存するための運航管理システムを開発していく事業内容となっている。今後はドローンだけではなく、同じ空域で共存する他のモビリティとの連携がより一層重要になりそうだ。
次に、各地域におけるドローンの利活用について現状の課題と目標を発表した。ドローンのモデルケースはまだ少なく、成功した事例であっても、運用方法や必要なプロセスの情報が足りていない。その結果、新たなモデルケースにつながっていないのが課題だという。そのため、各地域が抱える課題やドローン導入によるメリット等の見える化を行い、モデルケースの構築と横展開をしていきたい考えだ。具体的にはドローンの活用メリット、活用方法・活用プロセスの周知をはじめ、ドローンの導入支援に取り組んでいくとしている。
実現に向けた本格的な検討が始まった空飛ぶクルマ
同勉強会では、ドローンのほか空飛ぶクルマの動向も発表された。経済産業省は空飛ぶクルマの実現によって、新たな産業が創出されることに期待していると話し、たとえば、保険、機体・部品開発、物流サービス、エアタクシー、インフラ整備などが想定されるという。また、空飛ぶクルマは社会課題の解決につながり、交通インフラの渋滞解消、地方から都市部への通勤手段の代替え、地方では離島への移動手段などに有効だと発表した。
一方で、実現に向けて課題も多い。1つ目に空飛ぶクルマの機体開発、2つ目にインフラ・制度整備、3つ目にサービス化、4つ目に社会受容性といった課題がある。
国は空の移動革命に向けた官民協議会を通じて制度設計を進めており、2020年8月には実務者会合を立ち上げた。その下にはユースケース検討会や大阪・関西万博×空飛ぶクルマ実装タスクフォースに加え、ドローン同様のワーキンググループが設けられた。なお、空飛ぶクルマの最初の目標として、2025年に開催予定の大阪・関西万博での活用を目指して取り組んでいる。2021年度末には空飛ぶクルマの大阪版ロードマップをとりまとめる予定だという。
経済産業省は空飛ぶクルマに関する構想・取り組み内容および実証実験を支援することを目的に、社会実装に向けたプレゼンテーションを実施する自治体を募集するなど、本格的に取り組んでおり、各地でさまざまなユースケースが検討されている。