2024年3月26日、パーソルプロセス&テクノロジー(以下、パーソルP&T)は、LIFULL、栃木県那須町と共同で、2023年12月に「ドローン等デジタル技術活用による空き家調査の品質向上と空き家バンク登録情報の拡充」の実証実験を実施したことを発表した。

 少子高齢化や老朽化による空き家の増加が問題となっている。所有者への早期働きかけや空き家バンクへの登録が有効と考えられるが、全国の約6割の自治体はリソース不足により調査も十分に実施できていないという。今回実証事業を行った那須町も空き家バンクの登録物件は5件程度で、さらなる調査と所有者への働きかけが必要な状況であった。

 パーソルP&Tは、従来人力で行っている空き家調査について、水道使用量データおよびドローンを活用した調査プロセスを設計し、その有用性を検証した。同実証は、那須町の空き家バンクに登録されている物件と特定空家物件、空き家候補物件に対して、「空き家の特定」「空き家の外観調査」「空き家の利活用促進」の3つの検証ポイントに分けて、2023年12月11日~22日に実施した。

 ドローンによる空き家の特定については、特定空家判断基準、空き家判断基準、利活用可否判断に有効と思われるチェックリストにおいて、それぞれ半数程度の項目について判定が可能で、目視の一定の代替が可能であるという結果を得た。一方、地上からの視点や現地でなければ確認できない項目は、人による調査が必要であることがわかった。

 今回設計した空き家調査プロセスは、これまでに実施していた、問い合わせの都度、調査員が現地を訪れ空き家調査をする方法とは異なり、自治体が能動的に調査を実施可能。空き家バンクに掲載する写真をドローンにより撮影することで、訴求力を高め、空き家の利活用促進にも効果が期待される。空き家候補の数が多い地域や、別荘地など特定の範囲内に複数の調査対象物件が集まっているエリアではスケールメリットを得ることもできる。

 今後、実用化に向けた調査手法の向上、ドローンによる外観調査を経て利活用できることがわかった空き家へのマッチング手法をあわせて検討を行い、一連の空き家対策業務をパッケージモデルとして他自治体への展開を図る。また、同町でのドローン調査の本格導入を踏まえ、人材育成支援にも注力する方針だ。