2024年、リベラウェアの飛躍の年

 2024年はリベラウェアにとって飛躍の1年となった。年明け早々の1月には能登半島地震で倒壊した建物内の調査に点検用小型ドローン「IBIS」を投入し、クリアな映像を撮影。2次災害を防止するための情報収集に活用された。2月、3月には東京電力福島第一原子力発電所の1号機原子炉格納容器内部調査にIBISが使用され、未確認とされていた場所の撮影を実現した。東京証券取引所グロース市場に上場を果たしたのは7月だった。

 そんな同社は千葉県に本社を置くこともあり、これまで東日本で開催される展示会への出展が多くなっていた。そこで、「関西地方や中国・四国地方のお客様のニーズにIBISが合うかをチェックするため」(担当者)、ジャパン・ドローン関西に出展する運びとなった。IBISを初めて見たという来場者が多く、ドローンを屋内で活用できることに驚かれたという。「来場者から話を聞いていると、ドローンは空撮やドローンショー、あるいは空飛ぶクルマなど外で使うものと思われています。屋内でも活用できるドローンがあることを広めていきたい」と担当者は意気込む。

写真:飛行するドローン
ブースに設けられたケージのなかで安定した飛行を見せるIBIS。
写真:展示されたIBIS2とタブレット
タブレット端末と比較するとIBIS2のコンパクトさがよくわかる。

自治体からの注目:上下水道施設での活用提案

 印象に残った問い合わせとして、担当者は自治体関係の来場者から受けた、上下水道施設の点検への利用をあげた。これらの施設は水が張っていたり、ガスが充満している可能性があったりといった危険性があることから人が点検しづらい場所とされているが、IBISにとっては得意な場所といえる。「弊社では富山市上下水道局の浄化センター内の配管や雨水貯留施設を『IBIS2』を使用して試験的に点検する取り組みも行いました。自治体の方へはそういった事例をもとにご案内をしました」(担当者)と話した。

 西日本でIBISがまったく導入されていないのかというとそうではなく、プラント設備の保守管理を手掛ける山九の関西エリアで導入実績がある。地震発生後にレンガ造りのボイラーの炉内を緊急点検したり、定期修繕やガス検知器開発の検証に使われたりしているという。

展示会で魅せたIBISの飛行デモ

 展示会におけるリベラウェアのブースは、配管を模した狭小なスペースがブースの天井などに設けられ、IBISが自由自在に飛び回る様子が見られるのが特徴のひとつ。今回のブースはコンパクトだったものの、人の背よりもやや高く、周囲をネットで包んだ直方体のケージを設置し、その中でIBISを飛行させていた。今回の展示会では、実際にドローンが飛行する様子が見られるブースは限られていた。そのため、多くの来場者が足を止めIBISの動きを観察していた様子は印象的だった。

写真:展示ブースに設けられたケージ。その中でドローンが飛行している
ケージは縦に長い直方体となっていた。

 鉄道会社とも協業を進めるなど、利用される業界も幅広くなってきているIBIS。点検業務に対応できる人手の不足が続くと見られる2025年は、リベラウェアにとっても一層の飛躍が見込まれる年になりそうだ。

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