2022年10月25日、アイザワグループの無人航空機開発会社であるアラセ・アイザワ・アエロスパシアルは、1000ccエンジン搭載の「超無人機 AZ-1000」を開発したことを発表した。最大積載重量150㎏で航続時間2時間以上、無積載時では6時間以上の航行が可能。10月26日〜28日にポートメッセなごやで開催される「第5回名古屋ロボデックス」において実機を初公開する。

「AZ-1000」

 同機は2021年に発表した「AZ-500」を大幅に高出力化し、低燃費、無振動、高い動力性能を備えた高性能二輪エンジン技術をベースに、エンジン本体から4本のアームを伸ばし、ローターに直動でエネルギーを伝える「空飛ぶエンジン」という発想をもとに開発された。

「AZ-1000」と開発者の荒瀬国男氏
超無人機「AZ-1000」スペック
機体形式クアッド型マルチコプター
寸法(プロペラ折り畳み時)高さ1,000×長さ3,020×幅2,860mm
(高さ1,000×長さ1,510×幅1,405mm)
空虚重量(最大離陸重量)110kg(310kg未満)
積載量+燃料重量200kg以下
航続時間(積載量)6時間以上(積載量なし)
2時間以上(積載量150kg)
燃料タンク容量55L
プロペラ可変ピッチ式・直径1,700mm×4

 二輪車用エンジン技術を応用した小型・軽量・高出力の無人航空機専用エンジン「國男」は、2軸2次バランサーを搭載することで低振動化を図るとともに、レイアウトに工夫を凝らしたトランスミッション設計により、高出力化と機体の小型化を実現した。

無人航空機専用エンジン「國男」
無人航空機専用エンジン「國男」スペック
エンジン型式水冷・4サイクル・直列4気筒・DOHC16バルブ
最高出力110kW(150PS)
排気量998cc
燃料供給装置電子制御フュエルインジェクションシステム
特徴・2軸2次バランサーによる極低振動
・機体のコンパクト化に貢献するギアレイアウト
今回開発した「AZ-1000」(左)と、昨年発表した「AZ-500」(右)

 AZ-1000は、現在2つのプロジェクトで活用されている。1つ目は、福島県浪江町との共同による防災支援システム「The Guardian」の社会実装プロジェクトである。同機が強風や降雨時でも自律航行しながら連続5時間にわたって海岸の映像を上空からスマートフォンにライブ中継することにより、いち早く住民に適切な避難行動を促せるよう開発を進めている。

精密避難支援システム「The Guardian」

 2つ目は、洋上風力発電グリーンアンモニア製造艦「GAPS」の実証機開発プロジェクト。洋上風力発電の風車を支えるコンクリート構造体の製造にAZ-1000を活用する計画だという。コンクリートを射出するノズルを機体に取付け、飛行しながらコンクリートを積層して構造物を製造するFlying 3D Printerとして開発を進めている。

グリーンアンモニア製造艦GAPS 1号機「MIKASA」