“狭い”“暗い”“汚い”というドローンが飛行するにはハードルが高い、天井裏や地下ピットといった屋内の狭所空間を飛行するドローンを開発したリベラウェア。今年1月に埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故では、崩落した下水管内を飛行して、管内に落ちたトラックの運転席を発見したことでも知られている。リベラウェアではその後、下水道管路の点検という用途でも注目を集めるIBIS2を、連日ブース内のセットで飛行させてデモンストレーションを行っていた。

災害現場やインフラ調査での活躍がIBIS2の信頼性を裏付け

 リベラウェアは今回のJapan Drone 2025に限らず、同社が出展するこうした展示会のブースに、天井裏空間やダクトをイメージしたフライトケージを設けて、会期中ほとんど絶え間なくIBISを飛行させるという展示を行っている。機体をただ展示するより実際に飛行するIBISを見るほうが、訴求力が高いのは言うまでもない。さらに、10平方メートルにも満たないようなスペースで、ドローンが実際に飛行することができるスペースを設けられるというのは、“超狭小空間点検ドローン”を謳うIBISだからこそ実現できるといっても過言ではない。

 リベラウェアは2019年に狭小空間点検用ドローン「IBIS」をリリースし、天井裏空間をはじめとした屋内狭小空間の点検用途にレンタルサービスを開始。2023年には第2世代となる「IBIS2」をリリースしている。2024年1月には能登半島地震の支援活動の一環で倒壊した家屋の内部の調査を実施したほか、同年3月には福島第一原子力発電所1号機の原子炉格納容器内の調査でもIBISが使用された。さらに2025年1月には埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故において、陥没箇所に落ちたトラックを捜索する活動でIBIS2が使用され、屋内の狭い空間でドローンが点検に使えるということを世に知らしめることとなった。

 ブースに立つ林昂平取締役によると「いままではこうした展示会に出展しても、ニッチなメーカーのひとつだった。今はリベラウェアやIBISが徐々に世の中に浸透してきて、みなさんが“一度は見ておかないといけない”という存在になった」という。

写真:ケージが設置されたリベラウェアの展示ブース
天井裏空間やダクトといった屋内の狭小空間をイメージしたケージを設けたリベラウェアのブース。

高度維持機能を備えたIBIS2-Aが登場

 リベラウェアでは今年3月に「IBIS2」を改良した「IBIS2 Assist(IBIS2-A)」をリリース。これまでのIBISシリーズは、飛行中の高度を操縦者がスロットルを操作して維持する必要がある。これがIBISを扱う上で一般的なドローンに比べて操縦の難易度が高いとされていることであった。奇しくもIBISシリーズの認知の広がりとともに、近年、屋内の狭所空間の点検というニーズが高まるにつれ、他社からも屋内狭所空間向けのドローンがリリースされており、その中には高度維持機能を搭載しているものも現れている。その中でIBIS2-Aの高度維持機能には、これまで数多くの屋内狭所空間を飛行させてきたリベラウェアの知見が生かされている。

 というのも一般的なドローンの高度維持機能は、障害物に対して一定の距離を取るというものがほとんどだ。しかしこの方法では、「設備や構造物によってドローンの上下空間の距離が刻一刻と変化する天井裏のような空間では、ドローンが頻繁に上下してしまう」(林氏)という。そこでIBIS2-Aではそうした空間でも一定の高さで飛行できるように制御している。「障害物との距離を測ってこれ以上近づかせない、というような高度維持の技術は以前から取り組んでいたが、この考え方で使い物になるのか、という議論をさんざん行ってきた。そして、その方向性の答えをリベラウェアとして出すことで、ようやくIBISに搭載できることになった」(林氏)という。

写真:ケージの中を飛行するIBIS2
ケージ内を飛行するIBIS2。
写真:モニターを見ながらドローンを飛行させる操縦者
IBIS2は機体のカメラで撮影した映像をモニターで見ながら飛行させる。

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