DJI Japanのブースでは、今年に入って次々と刷新されたエンタープライズ系の製品を中心に展示していた。1月にリリースされたMatrice 4シリーズや、3月に発売のDJI Dock 3に加えて、本展示会の直前に発表されたDJI Matrice 400(以下、M400)を展示。M400はMatrice 350 RTKの後継機として位置付けられ、DJIのエンタープライズ向けドローンのフラッグシップであり、多くの来場者の関心を集めいてた。
M350 RTKの後継機が大容量バッテリーと多層障害物センサーを搭載
M400は6月11日に発表されたばかりであり、今回のCSPI-EXPOでの展示が一般に広く公開される初めての機会ということもあり、DJI Japanのブースでは最も目立つ位置に展示されていた。ローターアームを広げた機体のサイズ感は、従来のMatrice 350 RTK(M350)と大きく変わらないものの、胴体部分のボリュームは一回りも二回りも大きな印象を受ける。その一因とも言えるのがバッテリーレイアウトの変更だ。
M350が胴体後方左右に2つのバッテリーを搭載していたのに対して、M400では胴体の後ろ半分のスペースほとんどを占めるように搭載される1つのバッテリーとなった。「バッテリーはセルを保護するケースや回路基板があるが、M400はバッテリーを1つにすることで、これまで2つのバッテリーそれぞれに必要だったセル以外の部材のスペースをセルに当てることで大容量化した」(説明員)という。スペック上もM350が5880mAh、263Whのバッテリーを2つ搭載するのに対して、M400のバッテリーは20254mAh、977Whとなっている。その結果としてジンバルカメラのZenmuse P1を搭載した状態で59分という極めて長い飛行時間を実現している。
また、M400では障害物検知機能が強化され、従来のカメラの映像によるビジョンセンサーに加えて、新たにLiDARとミリ波レーダーを搭載。DJIのLiDARはAir 3SやMavic 4 Proにも搭載されるなど小型化が進んでいるが、M400ではドーム状のキャノピーの中にスキャナーを搭載し、水平方向の障害物を360度にわたって検知できる。また、ミリ波レーダーは胴体の前後と両側面、下面に加えて、上方検知用のユニットを前側のローターアームに装備。視覚的に障害物を認識するビジョンセンサーでは困難であった、真っ暗闇の中でも検知が可能となっている。
機体と地上との通信は2.4GHz帯の電波に加えてモバイル通信を併用できるO4 Enterprise Enhancedを採用。M400では新たに2枚のSIMカードが搭載できるため、地域によって通信キャリアによる通信可能区域の違いを補完することができる。さらに900MHz帯の電波による通信もバックアップとして利用できるようになっているという。
今回の展示ではM400の機体と900MHz帯の電波による通信も可能なコントローラーDJI RC Plus 2 Enterprise Enhanced、BS100インテリジェントバッテリーステーションの他にも、新しいアクセサリーを展示。RTKによる精密な飛行をさせるためのD-RTK 3多機能ステーションや、オンボードコンピューターのManifold 3などを展示した。また、スピーカーのZenmuse V1、スポットライトのZenmuse S1といった新しいペイロードも披露していた。
