2025年7月9日、清水建設は、地下ピットの検査業務の効率化を目的に、球体ドローンを使用した遠隔検査手法を確立したことを発表した。
実現場の試行では、この手法により、従来は7日間を要した地下ピットの検査を1日で完了し、作業人員も2人から1人に半減した。今後、同社が施工中の大規模現場での適用を予定している。
開口部が少ない地下ピットでは、検査時に内部空間の酸素濃度が低下するリスクがあり、有資格者が検査を行う必要がある。送風機や酸素濃度測定器、安全設備の設置など、作業前の準備にも手間と時間を要する。また、担当者が狭い地下ピットの全区画に行き写真を撮影して工事関係者へ共有する従来の方法は、作業負荷が大きく、撮影した写真を整理して検査記録を作成する必要があった。
今回確立した手法は、壁や天井等に接触しても墜落せずに安定して飛行できる、球体ケージを備えたドローンを用いてピット内の検査を行う。検査時には、4Kカメラと測距センサーを搭載した球体ドローンを地下ピットの開口部から降下させ、モニターに表示される4Kカメラのリアルタイム映像を見ながら躯体の健全性を確認していく。リアルタイム映像は測距センサーで取得した点群データの位置情報とひもづけて表示・記録されるため、映像データそのものを検査記録として活用できる。
同社は今後、体育館の天井や煙突内など、高所や狭い空間の点検等にもこの遠隔検査手法を広く適用する方針だ。
