2022年5月20日、mmガードは、ウエストホールディングス(以下、ウエストHD)と共同で、三菱UFJリサーチ&コンサルティング主催のスタートアップ支援プログラム「第5期 LEAP OVER」において、太陽光発電所のパネル点検を効率化するAIの共同検証を完了し、太陽光パネルの異常をAIが発見する「Drone View for SOLAR」のβ版をリリースしたことを発表した。

 Drone Viewは、教師データが少ない分野での異常検知を目指して開発されたAIで、教師なしで学習を進めるため、正常画像が準備できればいつもと違う部分を発見するAIを完成させることができる。すでに完成済みのモデルの転移学習で対応でき、多分野への適用が短期間で可能となる。

<教師なし学習と教師あり学習の比較>

教師なし学習教師あり学習
教師データ不要必要
正解ラベル(アノテーション)不要必要
開発期間
予想の正確性
モデル開発の難易度
太陽光パネル点検

 写真撮影にドローンを活用することで、太陽光発電所など広大なエリアの点検や送電線、ダム、携帯基地局などの高所点検も実施できる。赤外線カメラやガス検知カメラを使用すれば、従来地上からの点検では発見が難しかった局所的な発熱やガス漏れにも対応する。

 ​今回行った太陽光パネルの共同検証では、これまで2名の作業員で2時間かかっていた200枚の写真の確認作業を、従来の1/100の時間(72秒)で完了した。利用するコンピュータの能力を上げることで、解析時間はさらに短縮が可能だという。

ガスカメラ映像
AI点検結果

 正式版のリリースは2022年10月を予定しており、それまでにテスト協力する10社限定ですべての機能を無料で利用可能。リリース以降は、写真の処理枚数に応じて月額5万円(税別)〜 となる。

 今回リリースしたDrone View for SOLAR β版のほか、線路点検用の「Drone View for TRAIN」、山や海などでの遭難者を発見する「Drone View for RESCUE」のβ版も完成しており、ガス漏れ、風車、ダム、橋梁、送電線、携帯基地局の点検向けAIも順次提供する予定だという。

 mmガードは今回の共同検証を契機にウエストHDと業務提携契約を締結し、太陽光発電所の総合的な運用および保守のDX化を拡大していくとしている。異常位置の正確な位置情報の提供により、空間情報システムを兼ね備えたソフトを目指した機能拡張を予定している。