2021年10月27日、エイトノットは、EV船販売(以下EBS社)が大阪堺市旧堺港のクリエイションマリーナに設置する「ゼロエミッション・マリーナ」のプレス内覧会において、自社開発の自律航行小型EV船のデモンストレーションを実施することを発表した。EBS社が有する船舶のEV化技術とエイトノットの自律航行技術をつなぎ、強固なパートナーシップを築くことで、オンデマンド型水上交通の実現を目指す。

 同社は2021年10月、広島県大崎上島町において自律航行小型EV船による「日用品のオンデマンド搬送と不用品の搬出」の実証実験を実施しており、それと同様の船舶を用いて、自動離着桟(りちゃくさん)および近距離障害物を回避しながら自律航行するデモンストレーションを行う。

20ft ECO BOAT
自動着桟

 デモンストレーションを行う「ゼロエミッション・マリーナ」は、電動船や給電施設の普及を目的としたモデル基地で、ソーラーパネルによって得られた電力をリチウムイオンバッテリーに蓄電し、必要に応じて船舶への充電を行う。来年度は、風力発電と組み合わせることでより安定的な電源供給を目指すとしている。

マリーナ全景(左)、ソーラーパネル(右)

 モビリティの自律化・自動化技術の波は、船舶をはじめとする水上モビリティにも及んでいる。自律化が進むことで安全性、利便性、経済合理性の向上を図ることができ、四方を海に囲まれた日本における旅客・物流など既存産業の新たな移動・輸送手段となることが期待される。観光・レジャーでは、より手軽な水上体験を提供できるなど、新たな産業の創出にもつながると同社は考えている。

 エイトノットは、ロボティクスやAIなど先端技術を活用し「水上モビリティのロボット化」をコンセプトに、環境に配慮したEVロボティックボートによる水上オンデマンド交通の実現を目標としている。

 まずは2023年に、水上移動・輸送が生活インフラとなっている離島地域での一部サービス開始を目指している。広島県の離島において今秋実施する自律航行EV船の実証実験を通じて島民のニーズの調査や社会実装に向けた環境調査を行い、将来的には離島広域をカバーするサービスとなるよう開発を進めていく方針だ。