1月30日、日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は東京都内で「新春パーティー2023」を開催した。新春パーティーは毎年、無人航空機産業関係者が一堂に会し、新しい年のドローン産業の発展と飛躍を祈念するため開催している。毎年恒例となっているJUIDAの鈴木真二理事長によるスローガンの発表のほか、多くの国会議員が挨拶を交わした。
新春パーティーは、鈴木理事長の開催挨拶からスタート。この1年でJUIDA会員数が飛躍的に増加し、ドローン需要が高まりを見せている現状を説明した。
次に、毎年恒例となるスローガンを発表。2020年には国産ドローンなどが注目されたことで「ドローンセキュリティー元年」と発表。翌年の2021年には「ドローン災害活躍元年」と掲げ、その年には熱海市伊豆山神社で発生した土石流災害等でのドローンの活躍が注目を浴びた。2022年はレベル4飛行に向けた法改正や制度整備がスタートし、レベル3飛行の実証実験が数多く実施されたことから「ドローン社会実装元年」と発表した。そして、2023年はいよいよレベル4飛行実現に向けた法改正が施行されたことを受け、「レベル4実現元年」とし、鈴木理事長は「レベル4飛行を実現するための制度として操縦ライセンス制度が創設された。レベル4飛行の促進に向けてJUIDAも貢献していきたい。ドローンの産業振興に向けて活動していく」と意気込みとともに発表した。
続けて、鈴木理事長はJUIDA会員に向けた「ドローン飛行日誌作成・情報管理サービス」を開始することを発表。これは、レベル4飛行を実現するにあたり、飛行日誌の記録が義務化されたことを受け、より安全な運航を支援するためにブルーイノベーションが開発したもので、飛行記録を自動的に記録する機能や、機体のメンテナンスを管理する機能等が統合されており、国の条件を満たした飛行日誌となっている。JUIDA会員は無料で利用でき、今後、対応機種も増やしていくという。
▼ブルーイノベーション、ドローン飛行日誌作成・情報管理サービス「BLUE SKY」提供開始 -JUIDA会員向けに先行無料提供、一般向けは2023年夏に開始予定-
https://drone-journal.impress.co.jp/docs/news/1184832.html
国会議員5名が登壇、ドローンの社会実装に向けて意気込みを発表
新春パーティー2023には、多くのJUIDA会員のほか、以下の国会議員と省庁職員が参加。国会議員はドローンの社会実装に向けた期待や、豊富などを発表した。
衆議院議員 無人航空機普及・利用促進議員連盟 会長代理 田中和徳氏
参議院議員 無人航空機普及・利用促進議員連盟 顧問 山東昭子氏
衆議院議員 無人航空機普及・利用促進議員連盟 副会長 櫻田義孝氏
衆議院議員 無人航空機普及・利用促進議員連盟 事務局長 山際大志郎氏
参議院議員 無人航空機普及・利用促進議員連盟 幹事長 鶴保庸介氏
経済産業省 製造産業局 次世代空モビリティ政策室 室長 宇田香織氏
国土交通省 航空局次長 新垣慶太氏
田中和徳氏は「長年にわたり活躍されてきましたが、2023年はさらなる飛躍の年にして頂きたいと思います。鈴木真二理事長はドローンに係る多くの議会に出席し、国も大変お世話になっています。私が福島県の震災における復旧復興の責任者を務めていた時には、福島ロボットテストフィールドの関係で鈴木先生の指導を賜ってきました。日進月歩で進んでいくドローンには、空の産業革命としての普及を期待しています。議員連盟は技術開発や社会実装に向けて、力を合わせていきます」と鈴木理事長への感謝の気持ちを込めて挨拶を行った。
山東昭子氏は「昨年、安倍首相と最後に対談したのはドローンの話でした。安倍内閣時に尖閣諸島に中国のドローンが侵入し、情報が筒抜けとなってしまって困っていると悩んでいらっしゃる姿が記憶に残っています。ドローンは国民生活に密着したものや、防衛や軍事に関わるものがあり、未来に向かってドローンの運用を考えていかなければならず、見誤ると大変なこととなってしまいます。2023年は着実に法規制や運用の環境整備などを進め、ドローンの在り方を検討していく時期だと思います」と利便性の高いドローンの普及と、ドローンを危惧する2つの視点で検討していく姿勢を見せた。
櫻田氏は「ドローンはこれから利用する時代へ移り変わっていきます。ドローンが利用されることに期待しています。色々な面で活用できる環境を作って生活環境が豊かになるように努力していきます」と2023年の豊富を発表した。
山際氏は「ドローンに限らず、どれほど良い技術であっても社会に受け入れられなければ普及はされません。2023年は、いかに普及できるかということに着目して普及を促進していきたいと思います」と話した。
鶴保氏は「議員連盟を立ち上げた時に首相官邸への墜落や東京オリンピックがあったため、まずは規制を強化し、登録制度などを創設してきました。規制を強化してきた一方で、普及に力が及んでいないように見受けられます。法規制の整備が進みだした2023年は、JUIDAに今こそ頑張って頂かなければなりません。議員連盟とともに協力して頑張っていきたいと思います」と規制と普及のバランスに触れ、普及に注力する姿勢を見せた。
宇田氏は「経産省はレベル4飛行を解禁し、研究開発に取り組んでいます。2023年は高度な運航に耐え得る機体の開発などを進めていきます」と挨拶した。
新垣氏は「国家ライセンスの話が鈴木理事長からありましたが、登録講習機関は68件。すでに二等ライセンスは発行されており、1月24日時点で10人に発行しています。一等はこれからですが、海事協会で作業を順調に進めています。機体認証は一等の認証を1社進めているところでございます。事故報告は昨年で72件。令和2年度から減少傾向にあり、飛行は増えているが事故件数は減っているという現状です。2023年は実装に向けて安全な運航を行うための人材育成や、異常時に無事に着陸できる機体開発等に務めていきます」とライセンス制度や事故報告の現状に加え、2023年の抱負に触れた。
※1月30日時点