ブルーイノベーションのブースでは、球体型ドローン「ELIOS 3」の展示以外にも同社が開発するデバイス統合プラットフォーム「Blue Earth Platform(以下BEP)」による「スマートシティ・ロボティクスプラットフォーム」の実現に向けたパートナーとの取り組みなど、BEPを活用した各種ソリューションの展示やデモが行われていた。

 BEPとは、複数のドローンやロボット、各種センサーなどさまざまなデバイスを遠隔で一括制御・統合管理する同社独自のプラットフォームだ。今回は、同社が開発をサポートしているトヨタ自動車の「ドローンポート&情報管理システム」の展示を紹介する。

トヨタ自動車が開発中!物流用ドローンポートで荷物の受け渡しを自動化

ブース内に展示されたトヨタ自動車が開発中のドローンポート。着陸スペースと下部に荷物の積込・受取システムという構成。

 ブースに展示された開発中の「物流用ドローンポート」は、縦180×横180cmという大きさで、中央に着陸用マーカーが大きく描かれ、そこにドローンが着陸し、自動で荷物の積込・受取、充電が行えるというものだ。このドローンポートで受け渡し可能な荷物のサイズは25×18×17cmで、宅配便で一般的な60サイズ相当になる。

ドローンポートの横には荷物を取り出すための搬入出口がある。
着陸スペースの左右にある、ドローンを所定の位置に移動する矯正機構。

 着陸スペースの下には、ドローンへの荷物の積込・受取を自動で行うためのシステムが組み込まれており、着陸スペースの左右にある矯正機構を用いて所定の位置にドローンを移動させ、格納を行う。矯正機構は、縦方向の移動にボールねじ、横方向の移動にベルトを用いており、「縦方向をボールねじにしたのは、荷物の受け渡しで高い位置決め精度を実現するため」とのこと。また、このドローンポートは軽量かつ分割構造を採用しており、さまざまな場所に自由に設置できる可搬性にも優れている。会場では、荷物の受け渡しのデモが行われ、注目を集めた。

ドローンだけでなく、写真内の左側にあるUGVとの連携も視野に入れている。展示されていたのはUGVのサウザー。

 さらにこの荷物をドローンポートとUGVの間で受け渡しを行うことも想定しているとのことで、ドローンポートの横にはUGVのサウザーも展示された。

ドローンやUGV物流の飛行以外の自動化を進める

 ドローンの目視外飛行(レベル4)に関する法整備が今年度中に整う見込みで、ドローンによる物流の可能性や利用シーンは増えていくと予想される。現在、ドローン本体の自動飛行技術は開発が進んでおり、また、ドローンを着陸させるドローンポートも開発中のものがイベントで披露されることが多くなった。しかし、ドローン物流のキーとなる、「荷物をドローンに積み込む、受け渡す」作業の自動化はまだまだ進んでいない。

 トヨタ自動車では自動車分野でモビリティーサービスプラットフォームの構築を進めており、この知見をドローン物流の飛行以外の分野で活かしたいとの考えで、今回のドローンポートを開発したという。トヨタ自動車のモビリティ連携システムとドローンの連携は、ドローンの統合管理・制御に強みを持つブルーイノベーションが開発をサポートする形となる。

 今後ドローンやUGV物流の利用を拡大するためには、ドローンの飛行以外の付帯作業を自動化することが求められてくる。トヨタ自動車は、自動車分野での知見を活用して貢献したいとしている。