2020年8月に空飛ぶクルマ「有人機SD-03」で公開飛行試験に成功したことが記憶に新しいSkyDriveは、航空機開発のノウハウを用いた安全な物流ドローン「SkyLift」を展示。
SkyDriveは、国内ドローンメーカーとして日本で初めて航空・宇宙及び防衛分野の品質マネジメントシステム「JIS Q 9100:2016」認証を取得しており、安全性の高い機体を開発する環境を持っている。
SkyLiftは、1回の飛行で30kgの重量物を運び、飛行時間は約9分。半径1kmの距離を行き来することで、1日約700kgの荷物運搬ができる計算になる。また、緊急時や災害時にフェールセーフを外せば50kgの運搬が可能だという。
航空機の設計思想に基づき、プロペラ・モーター・電源系統を冗長化し、万が一、プロペラが破損や落下しても安定した飛行を維持し、安全に着陸できるような構造になっている。さらに、2021年度グッドデザイン賞を受賞するなど、デザイン性も高く評価されている注目の機体だ。
機体の特徴のひとつとして、ホイスト機能が挙げられる。ホイストを使って頑丈なワイヤロープで上から吊るし、地面に着陸せずに荷物を上げ下ろしできるようになっている。
したがって離着陸が難しい場所や荷受けスペースが狭い環境でも、最大40m上空から非着陸での荷下ろしが可能だ。
またカーゴバッグは、鋭利な工具等も安全に運搬できるよう、軽くて丈夫な特殊素材を採用。さらには塗料やガソリンなど可燃性のある液体が万が一漏れてしまった場合でも、バッグの外まで漏れないように縫い目がない工夫されたデザインになっている。
操作は、基本的にはタッチパネルの自動飛行。地図上をタップするだけで離陸・着陸地点、ルートが設定される究極のシンプルさを実現している。非常時には、リカバリーとしてコントローラーを使って手動で操縦することも可能。
機体は、解体せずにハイエースに収まるサイズとなっており、車に積んでさらに険しい山をドローンで運搬することを想定。
このSkyLiftにより、地形的にクレーンやヘリコプターの活用が難しい現場でも、重量物を安全に自動運搬することが可能になる。鉄塔メンテナンスなどのインフラをはじめ、地震などの災害、土木建築など、山間部での作業の省人化や重労働の負担軽減に役立つことが期待される。
SkyDriveは、これまで提供していた機体のサブスクリプションサービスに加えて、運用代行サービス「SkyLift Plus」を開始した。SkyLiftを活用した物流業務をワンストップで請け負う新サービスは、SkyDriveが現地調査や飛行ルート設計等を企画し、国土交通省への飛行許可申請も代行。経験豊富なパイロットまで派遣する。
同サービスにより、ユーザーによる物流ドローンの運航ノウハウの確立をサポートし、将来的にユーザー自身で物流ドローンを持続的に運航できるよう支援していく。