製品開発支援企業として、自動車、家電だけではなくあらゆる産業の商品企画やデザイン、製品設計、解析エンジニアリング、試作、金型の設計・製造・メンテナンス並びに小ロット成形品の生産などを行っているアークは、コンセプトロボットの「RAXii」と「any」の展示のほか、デザインを重視したロボットのワンストップ・パッケージソリューションを紹介した。

複数のプロセスリソースを持つ開発力 パッケージソリューションで製品開発を支援

 新型コロナウイルスの影響で日常生活に感染防止対策が定着したことで、“非接触”で作業をこなし、人手不足の現場を補助する役割として、ロボット関連の市場が規模を拡大しており、運搬や案内、清掃、警備・監視など、ロボットの活躍の場が増えている。なかにはロボット開発・導入に取り組む企業も多く、イチから開発するとなると知見や技術を要するほか、それにかかる時間とコストなどが課題となっている。同社にはロボット開発における複数プロセスのノウハウがあり、ワンストップで開発支援を受託する「アークパッケージソリューション」を提供している。
 デザイン・3Dモデリング、設計・解析、試作、製造のプロセスのノウハウを持ち、アークパッケージソリューションではプロジェクトマネージャーが総合的に工程を管理・最適化し、必要なタスクを最小限に抑えることができる。また、キックオフから完成までの時間も短縮することが可能だという。

コンセプトロボット「RAXii」と「any」。RAXiiだけでも移動できるが、今回の展示はanyの上部にRAXiiを設置しているとのこと。

 同社の得意とするところは“デザイン”だという。担当者は、「各種業界に精通した技術者がデザイン・設計に携わる。外観の新しさだけでなく、機能面に関してもユーザーの求める使用シーンに最適なデザインを提案できる」と話す。同社ブースでは、そんなこだわりのデザインで設計されたコンセプトロボット「RAXii」と「any」が展示された。

機能だけでなく使用シーンにマッチしたデザイン性の高いロボット開発を支援

RAXiiは、丸みを帯びたデザインで、荷物の取り出し口がガルウィングとユニーク。
使用イメージは商業施設等についたらスマホでRAXiiを呼び、認証。荷物を運んでもらうというもの。
RAXiiとanyのデモの様子。

 展示ブースでは、コンセプトロボットRAXiiとanyが動き回り来場者の注目を集めた。
 RAXiiは、ショッピングモールや空港等の大型商業施設で活躍する手荷物運搬ロボットをテーマにアイデアを展開した。ロボットは丸みを帯び、取り出し口をガルウィングにしてユニークかつ幅をとらない設計にした。担当者によると「新しい輸送インフラとして人々に驚きを与えながら受け入れられやすい親しみのあるデザインを目指した」とのこと。使用のイメージとしては、商業施設につくとスマホなどを用いてRAXiiを呼ぶ。自分の所に来たらタッチで認証、買い物についてくる。荷物を積み終わると目的地まで運んでくれる。目的地で待ち合わせ、荷物を受け取り完了すると、RAXiiは商業施設のホームに戻る、というもの。驚くのは、キックオフからホットモック完成までたったの2ヵ月で完了したということで、同社のスピーディーな開発・製造力をアピールした。
 AMR(自律走行搬送ロボット)プラットフォームanyは、走行コア部の技術を紹介するロボット。基本仕様は積載重量100kgで、サイズは470(W)×720(D)×220(H)mm、本体重量は約60kg。「anyをベースにロボット事業参入のハードルを引き下げることができる。多様なカスタマイズが可能」と担当者は話す。
 同社ではRAXiiやany以外にもコミュニケーションロボットの「LILLY」、「oi」、配膳ロボット「STACKY」等、新しさと親しみやすさをもったコンセプトロボットを開発している。これらコンセプトロボットは、デザイン技術を表現するためのサンプルで製品ではない。「コンセプトロボットは、開発力、デザイン力を見てもらうために製作した。よく購入したいと問い合わせをいただくが、販売はしていない。反響は大きく、弊社としてもデザイン力に自信を持っています」と担当者。
 アークパッケージソリューションとしてプロセス一括の対応が可能であるが、デザインだけの依頼も受託するとのことで「デザインにも何段階かあり、スケッチだけの対応から3Dデータを起こしCG化することや、デザインの段階で量産製造の条件を盛り込むこともできる」とのこと。
 ドローン関係でいえば、新コンセプトのドローン骨格の解析・生産も可能ということで、同社はさまざまなロボットやAMR、ドローンの開発・導入を目指す企業の強い味方になってくれるだろう。