NTT東日本は11月26日、地域課題の解決に向けたドローンの社会実装を目的として2021年2月から事業を開始しているNTT e-Drone Technology(以下NTTeドローン)の事業説明会と10月に発表した農薬散布ドローン「AC101」の2022年モデルのデモフライトを初披露した。

設立からの歩み 農業を起点に地域の拠点づくりを進める

説明を担当したNTT e-Drone Technology サービス開発部 開発部門長 関口勇二氏。
NTTeドローンの事業展開を発表。

 NTTeドローンは2021年1月18日に、NTT東日本とオプティム、WorldLink & Company(以下ワールドリンク)の3社によって設立された。2月1日より事業を開始し、事業内容は「国産ドローン事業」「ドローン運用支援事業」「ソリューション事業」「データ事業」としており、現在はスカパーJSATホールディングス子会社であるエンルートから事業譲渡された農薬散布ドローン「AC101」と産業用ドローン「EC101」を中心に事業を展開している。
 主軸の農薬散布ドローンAC101は、設立後150台を製造・販売。ワールドリンクと連携し、全国でデモフライトを実施している。10月には「AC101 2022モデル」を発表し、今回の説明会では初披露となる実機のデモフライトが行われた。

ドローンによる橋梁点検を開始した。今年は50橋を実施しており、来年度は100橋の点検を実施予定。

 産業用ドローンの取り組みとしては、災害対策として通線・中継局、土木測量、橋梁点検などを目的とした全国への配備が完了し、運用がはじまっている。橋梁点検では、特殊車両や足場等を必要としていた橋梁50橋についてドローンでの点検を実施。ドローンの活用を要望する自治体や事業者と連携し、来年度は数百橋に及ぶ橋梁点検の実施を予定していると発表した。

7月20日、ドローン向けオープンソース・プラットフォームを提供するスイス・チューリッヒのAuterionと提携。

 そのほか、7月20日にはドローン向けオープンソース・プラットフォームを提供するスイス・チューリッヒのAuterionとドローンの社会実装の加速を目的とした戦略的提携に合意したことを発表している。Auterionのハード(フライトコントローラ「Skynode」、ハンドコントローラ「Skynav」)とソフト(クラウド「Suite」)について、NTTeドローンが国内製造、日本語・国内法対応、国内データ保存等を行い、さらにSuiteベースの国内向けサービスの開発や両社機体をパッケージにした提供などを行っていく。

「おまかせeドローン」は、農薬散布、写真&レーザー測量、広域測量・空撮、インフラ点検などで、同社が認定する技能要件を満たしたパイロットを派遣、各種データはセキュアに管理を行うサービス。

 10月1日には、パートナー企業と連携し、必要なとき手軽に国産ドローン(一部、欧米製)によるサービスを利用できる「おまかせeドローン」の提供を開始した。提供メニューは、農薬散布、写真&レーザー測量、広域測量・空撮、インフラ点検などで、同社が認定する技能要件を満たしたパイロットを派遣し、各種データはセキュアに管理を行う。汎用性の高い基本メニューに加え、要望に応じてオプションやオーダーメイドにも対応する。同サービスは、機体を購入して維持管理するコストや手間などの負担を軽減し、安価で手軽にドローンを利用することが可能となる。また、国産ドローンの活用に興味を有する事業者との「国産ドローンを活用したパートナー・プログラム」を開始。EC101等を用いたユースケースの開拓を目的に、機体やオペレータの無償提供、サービス化にむけた共同検討を行うもので、おまかせeドローンのメニュー拡充、社会課題の解決に資するドローンの社会実装の推進が目的だ。11月26日現在、パートナー企業は、点検・測量・公共機関等、約10者以上が参加しているという。