ドローン人材育成を核としたスマートシティ事業、23年度に30自治体からの受注を目指す

長井市と連携して行う「ドローン人材育成を核としたスマートシティ事業」。
役割及びスキーム。

 事業説明会では今後のスキームについても発表があった。同社では、農業を起点とした社会課題解決に資するドローンの利用シーンは今後さらに拡大すると考え、自治体へのドローン人材育成サービスを開始する。まずは山形県長井市と連携し、農業ドローンの運用を通じて農業全般のスマート化を加速させ、災害、インフラ点検、測量など他分野へのドローンの利活用を推進する。NTTeドローンは、ドローン運用の拠点整備や操縦者、整備士らの人材育成を担う。NTTeドローン サービス開発部 開発部門長 関口勇二氏は「国産ドローンを地域自らが運用できるかどうかが地域におけるドローンの利活用を左右する。長井市とは5カ年計画で地域プレイヤーを育てていく」と話す。こうした自治体との連携に関しては、2023年度までに全国で30自治体からの受注を目指すとしている。

2023年度をめどに5G対応ドローンを開発・商用化する予定だ。

 また、2023年度をめどに5Gに対応する国産ドローンを商用化する。2021年度からは、第4四半期にLTE及びローカル5Gを搭載した機体による映像伝送等の技術実証を開始する予定で、あわせて5G時代を見据え、ドローンで撮影したデータを利活用する実証も開始する。5G対応ドローンでは、高精細の映像データが伝送できるようになり、農業(生育分析)、林業(森林管理)、土木・森林測量のほか、海岸・河川の異常検知、災害状況確認、空港など重要施設の監視など公共分野への需要を開拓する。

 そのほか、おまかせeドローンのメニューと12月1日よりソーラーパネル点検メニューを追加し、主にメガソーラー向けに展開を予定している。
 同社ではレベル4による目視外飛行が本格的になっても人の派遣は続くとみており、「機体販売と人の派遣などのサービス事業の割合が2:8ぐらいになっていくのではないか」(関口氏)とし、国産機体×通信×インフラ・AIの強みを活かしていく。

7年間サポートつき「AC101 2022モデル」を発売

農薬散布ドローン「AC101 2022モデル」。サイズは935(L)×935(W)×676(H)mm(アームとプロペラを伸ばした状態)で、アームを拡げたまま軽トラックや軽バンの荷台に収まる。
本体重量は5.8kgと女性でも簡単に持ち上げられる。
バッテリーの取り換えはとても簡単。機体を軽くしたことにより、バッテリー交換なしで最大2.5haに散布することが可能だ。
機体は特別な器具なしでコンパクトに折り畳むことができる。アーム折り畳み時のサイズは611(L)×560(W)×676(H)mm。
デモフライトの様子。

 事業説明会では、10月に発表した日本で初となる7年間の長期保証が受けられる農薬散布ドローン「AC101 2022モデル」のデモフライトが行われた。日本の圃場に合った「軽量」「コンパクト」「省エネ」といった従来の機体コンセプトのさらなる強化を実現。機体本体は、従来より200g軽く5.8kgとし、1回の充電で同2割増の最大2.5haに散布できる。プロペラは樹脂製からカーボン製に変更され、モーターは冷却ファン付きとなった。さらに、カウルをFRP製からABS製に変更している。ソフトウェアにおいても機体やプロポといったファームウェアのアップデートのほか、速度連動散布も導入し、操作感もシームレスになっている。
 ドローンも“農機具”と定義し、生産者が長く安心して使用できるドローン業界の常識を覆す日本初の「7年サポート」を提供する。国内製造ラインの確立、在庫管理システムによるフロースルー化、海外サプライヤーの管理監督強化により実現したもの。生産者が安心して長く使えるアフターサービスとなる。また、リデュース・リユース・リサイクルのさらなる推進の観点から、ユーザーや自治体にとって負担となっているバッテリーの回収並びに不要となった機体の下取りも開始する(下取りは2023年春から開始予定)。
 AC101を気軽に利用できるよう機体レンタル「エントリープラン」(生産者、事業者向け)と「バックアッププラン」(代理店やスクール事業者向け)の提供も開始した。本体、液剤散布装置、プロポ、充電器、バッテリー4本、施設賠償責任保険付帯(オプション)からなる「基本セット」がエントリープランで30万円から、バックアッププランで50万円からとなる。
 また、幅広いユーザーにAC101に触れてもらうために、11月から3月まで日本列島を北から南へ縦断する「日本縦断AC101キャラバン」を実施する。キャラバン以外にも要望があれば全国どこでもデモフライトを行う。さらに、1年間の限定企画として販売代理店、整備事業所、講習団体、オペレータ向けの「AC101 Trial Program」(ATP)を実施する。内容はセミナー、オペレータ講習、整備士講習、インストラクター試験等となる。
 今後10年~20年の地域農業を支える農家のニーズを把握し、農業所得向上につながるドローンを開発することを目指す。