「2022年度に1000台規模の販売を目指す」

 発表会が開催された12月7日からSOTEN(蒼天)は受注が開始され、今後、全国の販売パートナーと連携し、保守・整備といったアフターサポート体制を構築していくとしている。すでに発表会当日の12月7日に、和歌山県の岩本石油が同機の取り扱い及び販売を開始したとアナウンスしているほか、VFRとシネックスジャパンが製品の販売とともに、専用のバーチャルトレーナーシステムとトイドローンを活用したドローンパイロット研修プログラムの提供を発表。また、12月9日にはSkyLink JapanがSOTEN(蒼天)の活用を検討している企業や自治体、団体向けの相談窓口を開設している。

 SOTEN(蒼天)は機体のほかに標準送信機、標準充電器、バッテリーが付属。さらに本機の発表と同じ日に、NTTドコモがドローン向けクラウドサービス「セキュアフライトマネジメントクラウド」を同機向けに提供開始すると発表。このクラウドサービスが標準サービスとして、SOTEN(蒼天)の購入日から3年間、5GBの容量で提供される。


SOTEN(蒼天)の標準付属品とオプション製品群。

 本機のプライスはオープン価格。実際の販売価格はACSLの販売パートナーが設定することになるが、その価格は数十万円台になると見込まれる。また、本機はNEDOの「安全安心なドローン基盤技術開発」事業によって開発されており、事実上、今後、政府機関で多くの台数が調達されることになるだろう。

 従来の国産ドローンと異なりSOTEN(蒼天)は“量産”を開発のテーマに掲げており、ACSLでは2022年に1000台規模の販売台数を見込んでいる。さらにその後も「毎年数千台というレベルで販売台数を増やしていきたい」と鷲谷氏は話し、そのためには日本市場だけでなく、ACSLの現地法人があるインドでもデリバリーすることを検討しているという。

 ACSLによるとSOTEN(蒼天)が活用される用途としては、インフラ点検や防災・災害対応、精密農業、測量といった分野を想定している。防災・災害対応や警備といった分野では行政機関が利用する一方で、民間ではインフラ点検での活用に対する期待は大きい。この日の発表会ではドローンをはじめとした最先端技術を活用した“スマート保安”を提唱する経済産業省の藤木俊光氏による講演のほか、電力業界におけるドローンによる設備点検の高度化を目指す団体であるグリッドスカイウェイ有限責任事業組合の紙本斉士氏や内閣官房の小熊弘明氏によるトークセッションが行われるなど、官民ともにこのSOTEN(蒼天)に対する期待の大きさを表した発表会となった。

「日本としての空の産業革命」と題して講演する、藤木俊光経済産業省製造産業局長。
トークセッションでは、鷲谷氏と紙本斉士グリッドスカイウェイ有限責任事業組合CEO(中央)、小熊弘明内閣官房小型無人機等対策推進室内閣参事官(右)が「官・民におけるドローン利活用について」というテーマで議論を展開した。