DXはどこから始めれば良いか
デジタルを活用してDXを実現した事例として、外食産業では注文用のタブレットから直接厨房へ注文情報を送り料理の提供時間を短縮しています。また製造業においては生産工程にIoTの導入やAiを活用することで品質や生産効率の向上を実現するなど、最近ではDXで成果を出した事例について耳にする機会が増えてきました。それではドローンを活用したDXを実現するには、いったいどこから何を始めたら良いのか、今日はそれを考えてみたいと思います。
前回、デジタル化とDXとの違いについて話をしましたが、一気にDXを実現しようとすると、いったいどこから始めたら良いのか思い悩むことになりかねません。そこで、DX実現までを次の三つの段階に分けるとします。第一段階は「現業の効率化」、第二段階は「DX準備期間」、そして第三段階を「DX期」としてこの三つの段階を踏んでDXの実現を考えたいと思います。
現業の効率化
まずは、第一段階として現在のビジネスの効率化を図って売上や利益を最大化し、現業に余裕を作ることを目指します。この「効率化」を実現するには直接ドローンを活用する業務の範疇で考えるだけでは不十分と思わなければなりません。ドローン業務を取り巻く会社全体の業務フロー、そしてカスタマーとのやりとりまで含めた仕事の流れ全体を視野に入れておくことが「効率化」を最大化するための重要なポイントになるということを念頭においておきましょう。
それでは現状分析をするところから始めます。業務範囲を「社内でできること」と「カスタマーの協力が必要なこと」この二つに分け、そして次に以下の視点で分析を行います。①現在の業務でIT技術やデジタルツールを活用できるところはないか、②すでにシステム化が進んでいる業務は統合して一元化することはできないか、③自動化できるところはないか、このような視点で現状分析を行い、効率化するための施策を検討することとします。
ここではドローンで建築物の点検を行う場合を想定してこの業務の効率化を考えてみましょう。図1はこの業務を想定したフロー(概要)とそのパート毎にデジタル化ができそうな一般的なツールを表しています。
ドローン業務に携わる方は、自分のパートに注意が集中しがちだと思いますが、このように現業全体の業務フローを可視化することで、どの業務をどのように効率化すれば良いのか、また統合できる部分があるとすればどこなのかなど検討しやすくなります。
一元化できる工程と方法を検討する
それでは例として直接ドローンに関わる業務(ドローンの情報管理)に注目してみましょう。ここでは飛行計画/許可申請からレポート作成までさまざまなツールを利用して情報管理をしているケースが多いのではないでしょうか。しかしできれば可能な限り一元管理を実現して業務の効率化を図りたいところです。まずは、すでにクラウドで提供されているサービスを検討しましょう。ここでは飛行計画から飛行許可申請、飛行履歴などが一元管理できるようなものを利用してみるのが良いでしょう。そしてさらに効率アップを望む場合には、社内にあるコラボレーションツールやクラウド上で提供されているITツールを活用するなどして、独自にシステムを作ることを検討するのも良いと思います。システムで社内の情報を1箇所に集中させることによって情報共有が容易になり、蓄積された情報の利活用も進むので、作業効率改善の役に立つことでしょう。また、経験を積めば積むほど貴重な財産となりチームや会社に貢献してくれることと思います。最近は「ローコード」や「ノーコード」と言われる専門のプログラミングの知識やスキルがなくてもシステムを作ることができるITツールがありますので、そのようなものを利用するのも方法の一つです。仮にツールの選定に迷った際にはITに詳しい専門業者に相談しましょう。
ビジネスパートナーとの連携、ツールの開発も視野に
次に「データ分析やレポート作成」のパートについて考えてみましょう。ここはそれぞれの企業のノウハウが発揮される場面ですから、自社内に強みを持っている企業にとっては腕の見せ所になります。しかし、そのノウハウをもう一段レベルアップするための手段として提案したいのが「ビジネスパートナーとの連携」です。
例えば双方共有して使えるツールを活用すればお互いに効率をアップすることができますし、もしも他には無いそれぞれの強みが一つのパッケージに集約されたツールを開発することができれば、より強力な差別化を手に入れることができる可能性が生まれます。
ツールを共同で開発するとなると、ハードルが高いというイメージを持たれるかも知れませんが、既製のツールを利用する、または先に紹介した「ノーコードツールを活用する」方法もありますので、必ずしも一から開発しなくてはならないとは限りません。こちらも、もしアイディアが具体的になったらITに詳しい専門家に相談してみる事をお勧めします。
連携はそれぞれの企業が持っている事情を考慮したうえで取り組む必要がありますが、もしビジネスパートナーと連携が可能な業務があり効果が期待できる場合などには、ぜひ積極的に提案してみる事をお勧めします。
企業によって対策はさまざまだが、取り組むメンバーのコンセンサスは重要
今回は、第一段階として「現業の効率化」について一例を挙げて考えてみました。業界のどの分野をどのような範囲で受け持つかによって、効率化の手法もさまざまだと思います。デジタルツールのポテンシャルは高いですがそれを運用するのは「人」ですし、携わるメンバー同士の連携で効率化を果たせるケースも大いにあると思います。また、DXを円滑に推進するには社内外で協力してくれるメンバーとの連携と社内経営層との理解を深めておく事などが重要です。実務的な対策を施す作業と並行して、関わるメンバーや経営層とのコミュニケーションを密にしながらプロジェクトを推進するように心がけましょう。
第一段階として「現業の効率化」について考え、この作業をDX推進の第一歩とした訳ですが、これを現業の見直しをする良い機会と捉え「現業の効率化」にぜひ取り組んでみてはいかがでしょうか。次回は現業の効率化で作った余裕を活かして「DXの準備」そして「DX」というテーマにフォーカスしたいと思います。
【DXの専門家が解説!次世代のドローン活用】
株式会社デジタルパレット
https://digipale.jp
慢性的な人手不足やウィズコロナ時代の中で、特に中小企業においては、採用活動、営業手法、工程管理、テレワーク対応など、業務改革の必要性に直面している。これを踏まえ、株式会社デジタルパレットは、国が後押しするDX(Digital Transformation|デジタルトランスフォーメーション)とベクトルを合わせ「DX学校の運営」や「ITコンサルティング」を通して課題解決の支援事業を推進している。
事業内容:DX学校運営/IT活用コンサルティング/システム開発/WEBサイト制作/人材育成
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